有料記事/百鬼夜行の国際政治

第08回

クーリーはなぜ米国に来たのか

『シャンハイ・ヌーン』のDVD表紙『シャンハイ・ヌーン』のDVD表紙

 ハリウッド映画『シャンハイ・ヌーン』(2000年作品)は、香港出身のジャッキーチェンがテキサス出身のオーウェン・ウィルソンと共演した西部劇アクション映画だ。清王朝の王女が誘拐され、近衛兵のジャッキーがカリフォルニア州の東隣り、ネヴァダ州の州都カーソン・シティ目指して身代金を運び、王女救出を目指すという荒唐無稽な筋立ての映画である。間抜けでお人よしの列車強盗を演じるウィルソンとジャッキーのやり取りが何とも楽しいのだが、実は筋書きの背景に重大な時代考証が潜ませてある。一つはカーソン・シティという町であり、もう一つは王女が拘束されている鉱山で、多数の清国人クーリー(苦力=イギリスがインド人と清国人の隷属的契約労働者に対して用いた呼称)が酷使されている状況である。

 清国からアメリカにクーリーが入ってきたのは、1848年にカリフォルニア州で金鉱が見つかりゴールド・ラッシュが起きてからだが、なぜ太平洋を横断して清国人労働者が米国東海岸に押し寄せたのか。それを理解するには、長くはなるがアフリカの黒人奴隷貿易まで歴史をさかのぼらなければならない。

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コラムニスト
竜口英幸
ジャーナリスト・米中外交史研究家・西日本新聞TNC文化サークル講師。1951年 福岡県生まれ。鹿児島大学法文学部卒(西洋哲学専攻)。75年、西日本新聞社入社。人事部次長、国際部次長、台北特派員、熊本総局長などを務めた。歴史や文化に技術史の視点からアプローチ。「ジャーナリストは通訳」をモットーに「技術史と国際標準」、「企業発展戦略としての人権」、「七年戦争がもたらした軍事的革新」、「日蘭台交流400年の歴史に学ぶ」、「文化の守護者──北宋・八代皇帝徽宗と足利八代将軍義政」、「中国人民解放軍の実力を探る」などの演題で講演・執筆活動を続けている。2018年4月、福岡市の集広舎から「海と空の軍略100年史──ライト兄弟から最新極東情勢まで」を出版。
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