有料記事/百鬼夜行の国際政治

第17回

リンカーンを裏切った男たち③

第19代合衆国大統領ラザフオード・ヘイズ(The White House)第19代合衆国大統領ラザフオード・ヘイズ(The White House)

 アメリカの政治学者イアン・ブレマーが率いるリスク分析コンサルタント会社「ユーラシア・グループ」は1月6日、世界が2020年に直面するであろう最大のリスクに、11月の米大統領選挙を挙げた。統治の仕組みが世界で最も強固だとの確信から国内政治をリスクに上げたことがない同社にとって、極めて異例のことである。米国社会の分断と民主・共和両党の対立が抜き差しならないところまで進んでおり、大統領選の結果がもたらす政治の激突と外交的空白が国際社会を混乱に陥れるだろうという予測だ。

 大統領選の混乱といえば、共和党のジョージ・ブッシュと民主党のアル・ゴアが対決した2000年の大統領選挙を思い起こされる方もあるだろう。票の点検と再集計作業から始まった一カ月余の混乱は最終的に連邦最高裁の裁定に持ち込まれ、ブッシュ勝利で決着し、ゴアも敗北を受け入れた。しかしながら、今年はこうした“決着”さえ納得されないだろうと見立てている。

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コラムニスト
竜口英幸
ジャーナリスト・米中外交史研究家・西日本新聞TNC文化サークル講師。1951年 福岡県生まれ。鹿児島大学法文学部卒(西洋哲学専攻)。75年、西日本新聞社入社。人事部次長、国際部次長、台北特派員、熊本総局長などを務めた。歴史や文化に技術史の視点からアプローチ。「ジャーナリストは通訳」をモットーに「技術史と国際標準」、「企業発展戦略としての人権」、「七年戦争がもたらした軍事的革新」、「日蘭台交流400年の歴史に学ぶ」、「文化の守護者──北宋・八代皇帝徽宗と足利八代将軍義政」、「中国人民解放軍の実力を探る」などの演題で講演・執筆活動を続けている。著書に「海と空の軍略100年史──ライト兄弟から最新極東情勢まで」(集広舎、2018年)、『グッバイ、チャイナドリーム──米国が中国への夢から覚めるとき 日本は今尚その夢にまどろむのか』(集広舎、2022年)など。
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