元号が「令和」に代わったばかりの5月下旬、「令和」時代最初の国賓としてトランプ米大統領が日本を訪問し、四日間にわたり安倍首相と濃密な首脳会談を繰り広げた。
外交に秘密は付き物だし、秘密合意もあるかもしれないが、今回両首脳が世界に発したメッセージは極めて明確で、かつまた強烈だった。佐世保を母港とする米艦「ワスプ」と呉を母港とする海上自衛隊の護衛艦「かが」とを、在日米海軍司令部と海自の司令部がある横須賀に来航させ、艦上で両首脳が日米安保への揺るぎない決意を語ったのだ。しかもこれから導入する最新鋭ステルス機F-35Bを搭載できるよう「かが」と先行艦の「いずも」ともども改修することで、日本が中国を凌駕する海軍力の整備へと向かう方針が、これ以上ないほどの華々しい舞台装置の上で発信された。劇的なプレゼンテーションは中国、さらには北朝鮮やロシアに向けられているのは明らかで、とりわけ「自己過信」に酔っている中国海軍に衝撃が走ったであろうことは容易に想像できる。ロッキード・マーティン社のF-35BライトニングⅡ戦闘機は日米安保の要へと急浮上し、「接近させず領域に立ち入らせない(A2・AD戦略)」を掲げて膨張し続ける中国軍を、日米で押し戻す戦略をこれから遂行することになるだろう。
ご購入手続きは「codoc株式会社」によって代行されます
コラムニスト