世界の政治の仕組みの中で、「司法、立法、行政の三権分立」が最も機能しているアメリカで、行政の長たる大統領の地位をはく奪するには二つの手段がある。一つは憲法補正第25条が定めた病気などを理由に職務の遂行ができなくなったと判断された場合。もう一つは憲法第2条第4節の「大統領、副大統領、および合衆国のすべての文官は、反逆罪、収賄罪、その他の重大な犯罪や非行について弾劾の訴追を受け、かつ有罪の判決を受けたときは、免職される」との規定による場合だ。
歴史的に弾劾訴追を受けた大統領は2人。第17代大統領アンドリュー・ジョンソンは議会の同意なしに戦争長官(現在の陸軍長官)エドウィン・スタントンを解任したかどで訴追され、第42代大統領ビル・クリントンはホワイトハウス内で女性研修生と不適切な行為を行い、その件について連邦大陪審で嘘をついて司法妨害したことなどを理由に訴追された。2人の大統領は上院に開設された弾劾裁判所で裁判を受けたが、免職には至らなかった。現在、下院では大統領ドナルド・トランプの訴追手続きが進んでいるが、下院議長ナンシー・ペロシは、大統領のウクライナ疑惑について、贈収賄罪に当たると主張している。
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コラムニスト
