有料記事/百鬼夜行の国際政治

第07回

米開拓農民のイノヴェーション

ピーテル・ブリューゲルの「バベルの塔」(ウイーン美術史美術館蔵、ウィキペデイア)ピーテル・ブリューゲルの「バベルの塔」(ウイーン美術史美術館蔵、ウィキペデイア)

 16世紀のフランドル地方の画家ピーテル・ブリューゲルに「バベルの塔」という大作がある。旧約聖書の「創世記」を題材に、人類がレンガとアスファルトで天に届く塔を建設する様子を描いた作品だ。七層、八層と建築が進む巨大な塔が、縦114センチ、横155センチの画面中央に圧倒的迫力でそびえ立つ。手前に塔を発注したニムロデ王をやや大きめに描いている他は、材木を運ぶ筏、巻き上げ機でレンガを上げる人夫たち、建物のアーチ状の木組みなどが巨大な細密画として仕上げられている。宗教画でありながら、明るさがみなぎる風俗画のようで、観る者を飽きさせない。そして塔の外周を廻る道路は、巨大ならせんの渦となって上へ上へと進む。一周すれば建物の中心軸の上方へ一段ずつ高くなるらせんの特性が、天の高みを目指す人間の憧れを象徴している。

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コラムニスト
竜口英幸
ジャーナリスト・米中外交史研究家・西日本新聞TNC文化サークル講師。1951年 福岡県生まれ。鹿児島大学法文学部卒(西洋哲学専攻)。75年、西日本新聞社入社。人事部次長、国際部次長、台北特派員、熊本総局長などを務めた。歴史や文化に技術史の視点からアプローチ。「ジャーナリストは通訳」をモットーに「技術史と国際標準」、「企業発展戦略としての人権」、「七年戦争がもたらした軍事的革新」、「日蘭台交流400年の歴史に学ぶ」、「文化の守護者──北宋・八代皇帝徽宗と足利八代将軍義政」、「中国人民解放軍の実力を探る」などの演題で講演・執筆活動を続けている。2018年4月、福岡市の集広舎から「海と空の軍略100年史──ライト兄弟から最新極東情勢まで」を出版。
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