有料記事/百鬼夜行の国際政治

第13回

「対中A2/AD」は宮古海峡から

中国の新型総合補給艦「呼倫湖号」(CNR国防時空)中国の新型総合補給艦「呼倫湖号」(CNR国防時空)※画像をクリックすると拡大します(以下同じ)

 北朝鮮は7月25日から8月16日にかけて、日本海へ向けて6回にわたりミサイルとみられる飛翔体の発射実験を行った。米韓合同演習への警告と新開発兵器の実験とみられているが、防衛省は「我が国領域や排他的経済水域(EEZ)への弾道ミサイルの飛来は確認されておらず、現時点において、我が国の安全保障に直ちに影響を与えるような事態は確認されていません」とのコメントを出し続けている。

 北朝鮮は、国連安保理決議によって、すべての核・ミサイル開発が禁じられており、日本にとっても安全保障上の重大な脅威につながる事態である。特に目標到達直前に複雑な航跡を描く、ロシア製イスカンダルに似たミサイルは迎撃が困難とされ、深刻だ。だが、自身の再選しか眼中にないトランプ米大統領が、北朝鮮との交渉はうまくいっているという演出を続け実験を問題視しない姿勢を打ち出している以上、日本政府はそうは言いづらいのだろう。

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コラムニスト
竜口英幸
ジャーナリスト・米中外交史研究家・西日本新聞TNC文化サークル講師。1951年 福岡県生まれ。鹿児島大学法文学部卒(西洋哲学専攻)。75年、西日本新聞社入社。人事部次長、国際部次長、台北特派員、熊本総局長などを務めた。歴史や文化に技術史の視点からアプローチ。「ジャーナリストは通訳」をモットーに「技術史と国際標準」、「企業発展戦略としての人権」、「七年戦争がもたらした軍事的革新」、「日蘭台交流400年の歴史に学ぶ」、「文化の守護者──北宋・八代皇帝徽宗と足利八代将軍義政」、「中国人民解放軍の実力を探る」などの演題で講演・執筆活動を続けている。著書に「海と空の軍略100年史──ライト兄弟から最新極東情勢まで」(集広舎、2018年)、『グッバイ、チャイナドリーム──米国が中国への夢から覚めるとき 日本は今尚その夢にまどろむのか』(集広舎、2022年)など。
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