燕のたより
現場から劉暁波の香港論を考える その2 香港と私

現場から劉暁波の香港論を考える その2 香港と私

私は香港が「祖国の懐に戻って」から二二年間に十数回も訪ねた。その中にはヴィクトリア公園で天安門事件追悼キャンドル集会や詩人・アーティストたちの詩歌朗読、演奏、パフォーマンスなどの芸術祭があった(「色淡き血痕のなかで―二〇〇九年六月三日~四日、香港」『イリプスⅡnd』第四号、二〇〇九年四月、参照)。私は「雨傘運動」で、規模が最も大きく、メディアの報道も頻繁であった時ではなく、大陸で抗議デモの支持を… [全文を読む]
現場から劉暁波の香港論を考える その1『もし統一が奴隷化ならば』再読

現場から劉暁波の香港論を考える その1『もし統一が奴隷化ならば』再読

劉暁波は一度だけ香港を訪れたことがある。客員研究員としてノルウェーのオスロ大学からハワイ大学に移動する経由地として、一九八八年一一月二三日から二九日まで滞在した。短期間であったが、彼は「香港の自由、繁栄、秩序、香港人の温和、善良、遵法、勤勉」から「深い印象」を与えられ、「英国の殖民地統治に… [全文を読む]
一个人一支侦察队

一个人一支侦察队

1991年的寒春的尽头,我负笈东瀛留学。先做中日比较教育学的研究,数年后还是回到研究中国文革时期地下文学研究的主题。那些年走访了境内许多作家、学者。比如,当时成都大学讲师的王怡等朋友带我拜访西南诸省的老作家。我到贵州时,因写诗而前后坐牢十二年的黄翔夫妇已经流亡美利坚。于是,远赴美东,开始口述文学史记录。2003年,《黄翔的诗与诗想》出版(日本·思潮社)后,研究的视线更加关注地下文学的延长线上的流亡文学… [全文を読む]
第34回 サロン「燕のたより」のお知らせ

第34回 サロン「燕のたより」のお知らせ

中国のエルサレムと言われる浙江省温州から非力(フェイリィ)牧師をお迎えして、5月6日(土曜)にサロンを開くことにいたします。中国では近年キリスト者が急増し、このまま続けば世界最大のキリスト教国になるとの説もあります。特に都市部では知識人、ホワイトカラー、学生たちが「家庭教会」に集い、信仰の自由を守っています。そのようなキリスト者のコミュニティは中国における公民社会の形成につながるのでは… [全文を読む]
命の価値はどれほどの日々を生きたのではなく、どのように生きたのかによる

命の価値はどれほどの日々を生きたのではなく、どのように生きたのかによる

二人の林氏に心から敬服します。銅鑼湾書店の林栄基氏は、タバコを3本吸ってからようやく勇気を奮って真相を語り始めました。氏は香港の詩人の舒巷城の詩句を引用し、自分の気持ちを表しました。「ぼくはひざまずく本棚を見たことはない。しかし、ぼくはひざまずく読書人を見たことがある」。烏坎村の林祖恋氏… [全文を読む]
文化大革命発動50周年にあたり

文化大革命発動50周年にあたり

水ぬるむ候となりました。お元気でお過ごしのことと存じます。さて、2016年は文化大革命発動50周年にあたります。文革は歴史としてだけでなく、今日の問題でもあります。習近平体制はますます毛沢東の手法を使い、まさに文革の再来を彷彿とさせます。かつて、文革は「造反有理」などと、新左翼や全共闘に影響を及ぼし、今でもノスタルジックな回想などがあります。でも、当時、三島由紀夫、川端康成はじめ諸先生4名が… [全文を読む]
過ぎ去らぬ文化大革命──文革勃発50周年に際して

過ぎ去らぬ文化大革命──文革勃発50周年に際して

初唐の詩人、宋之問の詩句を詠みながら、気がせかされながらあっという間に過ぎ去った一年間に思いをはせています…。一年を締めくくるに際し、「日、暮れて、途、遠し」の感は否めませんが、「我が行く、今だ已まず」を噛みしめています。教鞭をとり、諸事に忙殺されながら、夜の闇に言葉を立ちあげられない悲哀や寂寞、時に苛立ちに包まれて、コツコツと日中両語で翻訳や著述を書きつづってきました… [全文を読む]
中国民主化の「奥の細道」を照らす詩の灯火(ともしび)

中国民主化の「奥の細道」を照らす詩の灯火(ともしび)

花冷えの四月五日、こぬか雨のそぼ降る大阪の難波、ネオンの映る道頓堀で、私は中国人一行と会した。彼らは言論統制が厳しくなる一方の中国において、鋭い批判や風刺で人気を博しているブロガーであり、日本のある財団が、その表現活動に注目し、招聘した。和食レストランで、日本酒は「人肌のお燗で」などと宴の席の雰囲気がほどよい感じになったころ、洒落たパナマ帽にサングラスという装いでパイプをくゆらせ、悠揚として… [全文を読む]
中国における「家庭教会」の広がりと当局の教会破壊、十字架撤去

中国における「家庭教会」の広がりと当局の教会破壊、十字架撤去

聖書「ヨハネ福音書」冒頭の「初めに言葉があった。言葉は神と共にあった」の「言葉」はギリシア語の「ロゴス」である。小論は、この「ロゴス(言葉)」の本源的な意味を踏まえて現代中国のキリスト教における言説(ディスクール)の一側面について検討する。キリスト教は思想的精神的にヘブライズムに位置づけられる。またギリシア語はヘレニズムと密接に関連する… [全文を読む]
「人間の条件1942(温故一九四二)」を読むために

「人間の条件1942(温故一九四二)」を読むために

「人間の条件1942(原題は温故一九四二)」は、現代中国文学を代表する作家の劉震雲が史実に基づいて著したルポルタージュ小説、その映画化ために劉震雲自身が書きおろした脚本、そして映画(馮小剛監督〔中国のヒット・メーカーと呼ばれる〕)の三つがある。いずれも重厚なテーマを、独特のユーモアやアイロニーを交えて生き生きと表現した名作である… [全文を読む]
ニセ札、ニセの紙幣識別機、ニセの両替支店、何から何までニセ !?

ニセ札、ニセの紙幣識別機、ニセの両替支店、何から何までニセ !?

さる七月三一日、二〇二二年冬季オリンピックの開催都市が北京に決まった。その日、私は北京に向かおうと関空にいたが、あいまいな説明のまま大幅に遅れていた。五時間ほどして、ようやく飛び立ち、一年半ぶりに、北京国際空港に到着した。入国手続きを終え、スーツケースを受けとると、税関の横に両替所があり… [全文を読む]
譚合成『血の神話──1967年、湖南省道県における文革大虐殺の記録』を読む

譚合成『血の神話──1967年、湖南省道県における文革大虐殺の記録』を読む

中国の湖南省といえば、日本人はまず「毛沢東」の名前を思い浮かべるだろう。毛沢東をどのように評価するかは、現在でも賛否両論で、「毛粉(毛沢東の熱狂的な崇拝者)」から「抜毛(否定論者)」まで様々な意見が出ている。中国の公式見解は、一九八一年六月の中共十一期六中全会における「建国以来の… [全文を読む]
「高速」な中国における「低速」な人生──「路橋人」残酷物語

「高速」な中国における「低速」な人生──「路橋人」残酷物語

「大路-高速中国里的低速人生」というタイトルで、中国の独立プロダクションの映画監督、張賛波はドキュメンタリー映画(未公開)を制作し、また同名の著書を台湾八旗文化出版社から2014年9月に刊行した。タイトルの「大路」は、具体的には高速道路を指している。中国は国策として猛烈なハイスピードで… [全文を読む]
中国人(漢人)の必読書──『墓標なき草原』中国語版序文

中国人(漢人)の必読書──『墓標なき草原』中国語版序文

静岡大学教授、楊海英氏の『墓標なき草原』(岩波書店、司馬遼太郎賞受賞)の中国語版が台湾の八旗文化出版社により刊行されました。翻訳者は劉英伯・劉燕子です。劉英伯はわが父です。父は北京大学在学中に反右派闘争に遭遇し、右派分子とされ、学籍・党籍をはく奪され、江西省の僻地の鉱山技術者となりました… [全文を読む]
孤高でニヒルなダンディズム──自由を骨の髄から渇望し、魂の奥底から叫ぶ

孤高でニヒルなダンディズム──自由を骨の髄から渇望し、魂の奥底から叫ぶ

「それはすべての時代の中で最もよい時代でもあれば、最も悪い時代でもあった。(略)光明の時でもあれば、暗黒の時でもあった。希望の春でもあれば、絶望の冬でもあった。」十九世紀、チャールズ・ディケンズは『二都物語』の冒頭で、このように述べた。そして二世紀を経た今日、この言葉を改めて思い起こす… [全文を読む]