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永遠の時の流れに──母・美君への手紙

書名:永遠の時の流れに
副題:母・美君への手紙
著者:龍應台
訳者:劉燕子/和泉ひとみ
判型:四六判/並製/368ページ
価格:2,182円+税
書店発売日:2019年12月13日
ISBN 978-4-904213-86-5 C0098

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内なる母を巡る書簡体文学の美しい結晶

台湾のベストセラー女性作家・龍應台による、認知症の母・美君に向けて綴られた手紙は、ときに哀憫を滲ませながらも、その語り口の通底音は軽やかで明るい。母に読まれることも母からの返信もないであろう「十九章の手紙」に「掌編のコラム」と「息子たちとの対話」を併録。歴史ドキュメンタリー『台湾海峡一九四九』、逝く父に寄り添う母を描いた『父を見送る』に続く三部作の完結編。

〔訳者あとがき〕より

 龍應台は文化部長を退任した二年後、認知症の母・美君の暮らす屏東県潮州に移り、『天下』誌に「美君」というタイトルで書簡体のコラムを連載し始めました。そのきっかけについて、彼女は次のように述べています。
 母とおしゃべりしたいけれど、彼女は話せなくなりました。私は全く心構えができていないときに、彼女はもはや一面の壁のようになってしまいました。この壁は、今生の私にとって最も恩の深い人で、最も愛し、尊敬する人です。本当に悲しい。そのため文学という方法でこの問題を扱いたいのです。
 

著者・訳者略歴

龍應台(リュウ オウダイ)(著)
作家,評論家。1952年,台湾・高雄に生まれ,74年,成功大学外国語学部卒業,82年,米国カンザス州立大学で博士号(英米文学)取得。83年に帰国し,書評集『龍應台評小説』で文壇にデビュー。85年,「中国時報」紙に掲載された評論が戒厳令下の台湾で多大な反響を呼び起こし,翌年出版の『野火集』は空前のベストセラーになった。その後も世論をリードする作品を次々に発表しつつ,86~99年,スイスとドイツに滞在。88年からハイデルベルク大学研究員兼講師。99~2003年,台北市文化局初代局長,05年,龍應台文化基金会設立。新竹清華大学教授,香港大学教授を歴任。12~14年,台湾行政院文化部部長。著書は『野火集』,『大江大海』(日本語版『台湾海峡一九四九』),『目送』(日本語版『父を見送る』),『人在歐洲(ヨーロッパにて)』,『百年思索』,『面對大海的時候(大海原に向かって)』,『請用文明来説服我(文明的に私を説得してください)』,『孩子你慢慢来(我が子よ,ゆっくりと歩いて)』,『親愛的安徳烈(親愛なるアンドレ)』など多数。
 
劉燕子(リュウ エンシ)(訳)
作家,現代中国文学者。湖南省出身。大学で教鞭を執りつつ日中バイリンガルで著述・翻訳。日本語の編著訳書に『黄翔の詩と詩想』(思潮社),『中国低層訪談録──インタビューどん底の世界』,『殺劫──チベットの文化大革命』,『チベットの秘密』,『人間の条件1942』,『劉暁波伝』,『「〇八憲章」で学ぶ教養中国語』,『文革受難者850人の記録──負の世界記憶遺産』(以上共著,集広舎),『天安門事件から「〇八憲章」へ』,『「私には敵はいない」の思想』,『中国が世界を動かした「1968」』(以上共著,藤原書店),『現代中国を知るための52章』(共著,明石書店),『劉暁波詩選──独り大海原に向かって』,『劉霞詩選──毒薬』,『独りの偵察隊』(以上共編訳,書肆侃侃房),『ケータイ』(桜美林大学北東アジア総合研究所)など,中国語の著訳書に『這条河,流過誰的前生与后生?』,『没有墓碑的草原』など多数。
 
和泉ひとみ(イズミ ヒトミ)(訳)
関西大学非常勤講師,博士(文学)。関西大学大学院文学研究科博士課程後期課程満期退学。(近著)『『列朝詩集小伝』研究』(共著,汲古書院),(近訳書)『劉暁波伝』(共訳,集広舎),『恋恋紅塵──中国の都市,欲望と生活』(共訳,東方書店)。

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