集広舎の本

命の嘆願書──モンゴル・シベリア抑留日本人の知られざる物語を追って

『命の嘆願書』書影

書名:命の嘆願書
副題:モンゴル・シベリア抑留日本人の知られざる物語を追って
著者:井手裕彦
発行:集広舎
判型:A5判/1296ページ/上製
価格:8,800円+税
発売:2023年8月23日
ISBN 978-4-86735-048-5 C0095

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スターリンが日本人五十万人の強制連行を極秘指令した「シベリア抑留の日」から
七十八年を経て刊行された「命の記録」──。
約千三百ページ、百三十五万字に及ぶ著者渾身の大著。

紹介

『命の嘆願書』外観

飢餓、極寒、重労働──。
「殺してくれ」凍傷に倒れた同胞は死を願った。
生き延びるために、抑留国政府を相手に
自らの危険を顧みず嘆願書を送りつけた三人の日本人がいた。
本書は、国家機密の壁を越え、その闘いを緻密に追跡した
元読売新聞記者による135万字の記録である。

A5判 縦216mm 横154mm 厚さ72mm

新聞記者生活の最後の年 著者はモンゴルへ向かった

「命」の呼称がある文書と言えば、第二次世界大戦中、ナチス・ドイツ の迫害から逃れようした多くのユダヤ人にリトアニアの日本領事館領事代理だった 杉原千畝が発給した「命のビザ」が知られる。一方、私が見つけた「命の嘆願書」 はモンゴルやロシアの公文書館の奥深くに「外交文書」や抑留の「公的記録」とし て厳重に保管され、誰の目にも触れず、歴史の中に埋もれようとしていた。 こんな抑留者やその妻、母、子がいた真実を置き去りにしたまま、出会った記録を 墓場まで持っていっていいものだろうか。新聞社を後にして筆を執ってから脱稿ま で三年を要したが、私は伝えずにはおれなかったのである。(本書《序》より)

著者略歴

井手裕彦(いで・ひろひこ)。ジャーナリスト。一九七八年読売新聞大阪本社入社。社会部で主に調査報道を担当。論説委員、編集局次長、編集委員を経て二〇二〇年退社。一四年から二〇年まで羽衣国際大学客員教授(ジャーナリズム論)。自ら捜し出した抑留者の死亡記録を日本政府に情報提供するとともに遺族に届ける取り組みを行っている。

目次


I 第1章 モンゴル出発六日前に「全面拒否」された
第2章 なぜ勇気ある抵抗は知られていなかったのか
第3章 モンゴルは国の調査から抜け落ちていた
第4章 「嘆願書」の単語が引っかかった
第5章 モンゴルへ足を踏み入れるまでに
第6章 居留民団長は努力の人だった
第7章 嘆願書を書いていた軍医
II
第8章 公文書館の厚い扉が開いた
第9章 嘆願書を無視することはできなかった
第10章 死亡記録から真実を追った
第11章 抑留体験者が見ていた「死」
第12章 抑留者を巡る意外な歴史があった
第13章 閲覧可の公文書館に賭けた
第14章 見たことがなかった資料に胸が震えた
第15章 日本政府が入手していない死亡記録があった
第16章 家族を喪ってしまった帰還者
第17章抑留中死亡者の総数について迫った
第18章民間人抑留者が次々に死んでいった病院
III
第19章 嘆願書執筆者の抑留の足取りは
第20章 満洲「根こそぎ動員」の犠牲に
第21章 父の抑留がきっかけで孤児に
第22章 日本人抑留の現場を辿った
第23章 地獄の農場収容所の跡地へ
第24章 「暁に祈る」事件の真相に迫る
第25章 モンゴルには二人の日本人女性が抑留
IV
第26章 個人記録から浮かび上がったものは
第27章 ソ連でも日本人の抵抗運動はあった
第28章 「第三の執筆者」の抑留こそ凄絶だった
第29章 帰還するには精神病者を装うしかなかった
第30章 「収容所から来た遺書」の真実
第31章 無罪と処遇改善の嘆願書を出していた男
第32章 嘆願書の執筆者たちの帰国後は
V
第33章 『シベリアのサムライたち』を読み解く
第34章 他人の「身代わり」になろうとした抑留者
第36章 通訳として抑留を生きた人たち
第37章 なぜ簡単に署名をしたのか
第38章 将官や高級将校は何をしていたのか
第39章 ソ連に魂を売ってスパイとなった抑留者がいた
第40章 関東軍総司令部の責任を考える
エピローグ 私の情報提供で国が記録を入手した
関連地図
関連年表
参考文献一覧

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