振武館物語 青年教育の日本的伝統振武館物語 青年教育の日本的伝統
著者:白土☆悟(☆は土に点)
A5判/並製/346ページ
定価[本体2000円+税]
ISBN978-4-904213-57-5 C0075

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「自己修練の精神」と「青年自治の気風」を守る
福岡で誕生し今日まで継承されてきた道場の135年の歴史をたどる

福岡には明治以来の伝統を有する青年道場が四館ある。隻流館(福岡藩柔術指南)、明道館(玄洋社創設)、天真館(内田良平創設)、そして振武館である。振武館は、他の三館と趣を異にしており、政治とは全く無縁で、しかも私設の柔道場でもない。旧福岡藩の士族子弟の結成した「達聰舎」なる青年会から出発し、郷党有志の寄附で、純粋に地域子弟の自己修練の場として維持されてきた。ここから山座圓次郎、吉岡友愛、恵利武、中野正剛、緒方竹虎、安川第五郎や小西春雄など政財界の著名な人々が輩出した。戦後は講道館・嘉納治五郎師範の最後の内弟子・西文雄(八段)を師範に迎え、「道の柔道」を講じてきた。大勢の青少年がその伝統的精神に触れ、先輩諸氏に恥じることのない生き方をしたいと願いながら育ったのである。まさに地方の教育力のひとつなのである。

目次

【第一章】地方青年たちの明治維新
    第一節 明治の政治体制の確立
    第二節 達聰舎の結成
    第三節 達聰舎の人々
    第四節 地行青年会と不二会の合併

【第二章】明治振武館の成立
    第一節 講道館柔道の福岡伝来
    第二節 明治三二年「振武館」の設立
    第三節 館友たちの伝説

【第三章】振武館の危機と再興
    第一節 中野正剛少年と柴田文城先生
    第二節 第一次振武館再興 中野正剛と玄南会の人々
    第三節 中野正剛の振武館員に与える書
    第四節 政治家・中野正剛の誕生
    第五節 西新町同心会の『紅葉』を読む

【第四章】大正・昭和初期の振武館
    第一節 吉田虎太郎の道場保管三〇年
    第二節 第二次振武館再興 大正一〇年鳥飼八幡宮への移転
    第三節 西文雄の中学修猷館赴任
    第四節 第三次振武館再興 木村佐四郎の道場運営
    第五節 昭和五年「四館リーグ戦」初出場

【第五章】戦時体制下の振武館
    第一節 自治と所有権の問題
    第二節 第四次振武館再興 昭和八年
    第三節 戦時体制下の青少年動員
    第四節 中野正剛の自刃
    第五節 福岡大空襲

【第六章】戦後の振武館復興
    第一節 米軍の進駐
    第二節 第五次振武館再興 昭和二二年
    第三節 冨永八郎の「振武館魂」
    第四節 振武館の隆盛
    第五節 ここに真人あり

【第七章】 西文雄師範の柔道論
     第一節 振武館師範に西文雄を迎える
     第二節 振武館における柔道指導
     第三節 「道の柔道」論
     第四節 「柔道技能」論
     第五節 柔道指導者の条件
     第六節 随筆「祖国と柔道」

【第八章】 高度経済成長期の振武館
     第一節 第六次振武館再興 昭和三六年中野泰雄の奮闘
     第二節 吉田雄助師範の逝去
     第三節 市役所への免税願書
     第四節 中野平八郎の鎮魂歌

【第九章】 低調なる振武館
     第一節 孤塁を守る
     第二節 田中光徳師範の柔道教室の発足
     第三節 振武館青年会の設立
     第四節 振武館創立一〇〇周年

【第一〇章】振武館の安定的発展と衰微
     第一節 第七次振武館再興 昭和六一年
     第二節 田中光徳師範の柔道教室一九年
     第三節 平成の振武館
     第四節 振武館再興を期して

【おわりに】 われ犬馬の労を取るべし

著者紹介

白土☆悟(しらつち・さとみ ☆は土に点)
1982年九州大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。九州大学留学生センターおよび大学院人間環境学府に勤務。振武館で約35年間、柔道を習い、また子どもたちを指導する。専門分野:現代中国教育研究、留学生教育研究。異文化間教育学会理事、日本比較教育学会理事、九州・シルクロード協会理事、福岡国際育英会理事などを歴任。教育学博士。主要著作:『現代中国の留学政策──国家発展戦略モデルの分析』(九州大学出版会、2011年)、『留学生アドバイジング──学習・生活・心理をいかに支援するか』(共著、ナカニシヤ出版、2004年)ほか。

書評および関連情報

◎2018年06月02日 選報日本に関連記事が掲載されました。 https://www.sejp.net/archives/2091