集広舎の本

音楽と戦争のロンド

音楽と戦争のロンド

書名:音楽と戦争のロンド
副題:台湾・日本・中国のはざまで奮闘した音楽家・江文也の生涯
著者:劉美蓮
監訳:西村正男
訳者:廣瀬光沙
発行:集広舎/A5判/上製/428頁
価格:本体3,500円+税
発売予定日:2022年4月5日
ISBN:978-4-86735-027-0 C0098
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紹介

台湾生まれの少年は「皇民」となった。

ベルリンで開催された音楽のオリンピックに「日本人」として参加した江文也──。
その後、北京に根を下ろすも、日本敗戦の翌年、漢奸(売国奴)罪で投獄、
文化大革命では手帖とピアノ、楽譜の多くを没収される。
音楽に生き、戦争に翻弄された音楽家の生涯をつぶさに辿る。

目次

序  曲 巨星、頭角を現す─オリンピック音楽賞についての調査報告
第一楽章 台湾編 植民地の家族
第二楽章 廈門編 廈門の少年詩人
第三楽章 日本編 学業、結婚、成功
第四楽章 中国編 皇民、教授、文革
余  韻 故郷の人々の思い

前書き

日本による台湾の植民地支配がはじまって十五年、台北の街に江文也は生まれた。六歳で家族とともに廈門に渡り、十三歳で日本に進学。旧制中学卒業後は東京に暮らし、作曲家としての才能を開花させた。一九三六年には日本人としてベルリン・オリンピック音楽賞を受賞。戦時中には日本軍のプロパガンダ映画の音楽監督としても重用された。
一九三八年、軍部の命令で北京師範学院の教授となり、以降は活動の拠点を中国に移して数多くの文化人と交流を持った。しかし戦後、中国に留まるも、漢奸と見なされ、さらに反右派闘争、文化大革命と歴史の荒波に翻弄されてゆく。声楽家、作曲家、詩人、研究者といった肩書にしばられない才能豊かな芸術家であり、逆境のなかでも音楽への情熱を抱き続けた彼の波乱万丈の生涯をたどる。

著者プロフィール

劉美蓮(リュウ ビレン)
台湾師範大学音楽系卒業。これまでに屏東師範専科学校、台南家政専科学校、国立台湾芸術専科学校で教鞭を執る。中華民国教育部審定の小学生向け音楽教科書の編集も担当。社団法人中華音楽著作権協会理事・顧問。中華圏のグラミー賞とも呼ばれる音楽賞の「金曲奨」や、台湾のエミー賞とも呼ばれる放送文化賞「金鐘奨」の審査委員を数期に渡って務める。「歌についての探偵調査」をライフワークとして勤しんでいる。

西村正男(ニシムラ マサオ)
関西学院大学社会学部・大学院言語コミュニケーション文化研究科教授。専門は中国語圏の文学・メディア文化史。主著に『移動するメディアとプロパガンダ(アジア遊学247)』(共編、勉誠出版、2020年)など、訳書に郭強生『惑郷の人』(あるむ、2018年)など。

廣瀬光沙(ヒロセ ミサ)
中日翻訳者。広島大学大学院総合科学研究科博士課程前期修了。台湾の歌手・鳳飛飛を研究。映像字幕やゲーム作品のほか、台湾文学館常設展の翻訳などを手がける。