集広舎の本

中国生業図譜

中国生業図譜

書名:中国生業図譜
副題:清末の絵入雑誌『点石斎画報』で読む庶民の“なりわい”
著者:相田 洋
発行:集広舎
判型:B5変型判/296ページ/並製
価格:3,500円+税
初版:2020年12月8日
ISBN 978-4-904213-96-4 C0036

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紹介

四千年の歴史が生んだ常民の生業(なりわい)大絵巻! 国内外の膨大な文献資料を基に一般の概説書では絶対に見られないディープな民俗図鑑!立花隆氏が絶賛した『中国妖怪・鬼神図譜』の著者による待望の続編。

目次

I 衣生活
成衣匠(仕立て屋)・染坊(染物屋)・織工(織り物工)・鞋店(クツ屋)・修鞋匠(クツ修繕)・仮髪舗(カツラ屋)・縫窮婆(縫い物おばさん)・磨刀人(研ぎ師)
II 食生活
農人(農民)・漁人(漁師)・猟人(猟師)・屠戸(肉屋)・油坊(油屋)・醬園(醬油屋)・豆腐坊(豆腐屋)・麺館(ウドン店)・酒店(酒屋)・茶館(茶店)
III 住生活
樵人(キコリ)・鉄匠(カジ屋)・木匠(大工)・石匠(石工)・金箔匠(金箔工)・更夫(夜回り)
Ⅳ 金融
銭荘(両替屋)・当舗(質屋)
Ⅴ 医療・衛生
医生(医師)・薬舗(薬屋)・売仮薬(偽薬売り)・剃頭匠(床屋)・糞夫(糞担ぎ)・澡堂(銭湯)・修脚匠(足の手入れ)
Ⅵ 交通・運輸
轎夫(カゴ担ぎ)・一輪車夫・人力車夫・馬車夫・縴夫(舟曳き)・挑水夫(水担ぎ)・鏢師(用心棒)・旅店(宿屋)
Ⅶ 職業婦人
三姑六婆(職業夫人)・捉牙虫(虫歯の虫取り)・娼妓(売春婦)
Ⅷ 教育・娯楽
書肆(本屋)・私塾先生(寺子屋師匠)・優伶(役者)
Ⅸ 裏社会
煙館(アヘン窟)・乞丐(乞食)・人口販子(人買い)・盗墓人(墓ドロボウ)・無頼(ヤクザ)・盗賊(コソ泥・サギ師・強盗)

著者プロフィール

相田 洋(ソウダ ヒロシ)
1941年、中華民国張家口に生まれる。福岡教育大学教授、青山学院大学教授を経て、現在、福岡教育大学名誉教授。著書『中国中世の民衆文化』(中国書店)、『異人と市境界の中国古代史』『橋と異人 境界の中国中世史』『シナに魅せられた人々 シナ通列伝』(ともに研文出版)『中国妖怪鬼神図譜 清末の絵入雑誌「点石斎画報」で読む庶民の信仰と俗習』ほか

書評──蓮坊公爾

 始めに相田氏を紹介する──中華民国生・福岡教育大名誉教授。本書は『中国妖怪・鬼神図譜』の続編。
 「生業なりわい」は、本来「なりわざ」──暮らしを立てる為の家業の事。稼ぐの意味に近いが、職業ほどの堅苦しさがない。江戸庶民の暮らし等は、正しく日々の稼ぎ(お天道様に恥じぬ日常)のなりわざに依りて、四季折々を共とした生活だね。
 貴書は、清末・光緒十年四月に創刊された『点石斎画報』(絵入り旬刊紙)。
 世紀末支那の世相談義、文明や政治・戦等、多彩な内容を網羅した独自編集は異色、読ませると同時に息づく図柄が、当時の支那人の有り様を浮かび上がらせてくれた。
 為れど、上海の子売り(籠に入れ)写真には、驚きのあまり言葉すら浮かばなかった。
 内容は多彩で、衣食住の生業を先ず上げ、金融・医療衛生・交通運輸・教育娯楽を載せる。
 支那と云えば裏社会(阿片窟の写真掲載)詳細を著す。
 職業婦人・Ⅶでは、「三姑六婆さんころくば」(職業婦人の侮蔑語)や促牙虫そくがちゅう(虫歯の虫を取る)なる独自の言い回しも加えている。
 「日本では従来ほとんど知られていない、具体例・図像をのせた」(相田)。ゆえに、当時の庶民の生態がリアルに伝わってくる──貴重な民俗図鑑だと云える…。
 「余説」・コメントを随所に加え、関連参考文献なる心意気にも感謝致す。
 いつもながら、他の追従を許さぬ企画に脱帽である。

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