中国ネットジョーク

第04回

現代中国人民哀歌──我々はソ連様の愉快な後輩だ④

㊱『当該の首脳』
街中で、ある男がプラカードを掲げていた。
「国家元首は感染症の流行について責任を持たねばならない。」
警察が男を捕まえると彼は釈明した。
「私はアメリカ大統領について言ったんですよ。アメリカ帝国主義の陰謀だと。」
警察は言った。
「誰が感染症の流行の責任を持つか我々が知らんとでも?」

原文

一名男子在街上举牌说一个国家的元首要为病情负责,警察把他抓起来后,他辩解说:“我说的是美国总统,这是美帝国主义的阴谋。”警察:”哪个人要为疫情负责我们不知道吗?“


㊲『主席は一人上手』
「習近平同志が入院した」
「なんの病気だ?」
「コロナウイルスによる新型肺炎」
「なんでまた?」
「ずっと自分の部屋で『自ら指揮を執り、自ら手配にあたって』いたからじゃない?」

解説

「(コロナウイルスによる新型肺炎の感染流行について)私はずっと自ら指揮を執り、自ら手配にあたっていた」という話は、習近平がWHOの幹部と面会したときに出した談話。中国中央のインターネット報道でも報道された、つまり中共お墨付きのもの。
しかし、その後新華社の報道では、このセリフが「統合的な指揮をし、統合的な指導にあたった」と修正された。中共の基本的な見解では、習近平が全てを決めると喧伝するのは良いことらしいが、新華社だけは少しばかり「そりゃ他所から見たらマズい」と考える頭があるのかもしれない。
出典:习近平我亲自指挥被修改的秘密(習近平 私は自ら修正の指揮をとる)

原文

“习近平同志住院了。”
“得了什么? ”
“冠状病毒。”
“为什么?”
“他一直在自己房间内‘亲自指挥、亲自部署’。”

㊳『悲しむべきニュース』
「ひどい顔だぞ、どうした?何か辛いことがあったのか?」
「昨日大劇場で新型肺炎が検出されて、現場の観客に難を逃れた者はいなかった」
「それはひどい。彼らのために俺たちも哀悼の意を表し、ともに祈ろう。」
「や、俺はそれが理由で苦しんでるんじゃない!」
「じゃあどうして……。」
「やってたのは党中央の新年祝賀会だったんだよ。」
「はぁ?それって喜ぶことじゃん!」
「空席が5つもあったんだよ!」

原文

“你今天怎么愁眉苦脸的?”
“昨天大剧院查出了冠状肺炎,在场观众无人幸免。”
“哦,那是挺惨的,让我们一起为他们哀悼吧!”
“不,我才不是为这个难过呢!”
“那你……”
“当时在举办中央的团拜会。”
“哦?那你还难过什么?”
“里面还有5个座位是空的。”

㊴『(悲しむべき)いつもの写真』
外信と記者は武漢に行く前に取り決めを結んでいた。
ネット警察のウイチャット監視を警戒し、もしも一切順調なら、写ってる人物が全員立ち姿の写真を送り、もし危なければ全員座っているもの。
ほどなくして記者が送ってきた写真だが……写真の人物は皆横たわっていた。

解説

愛される写真ネタ、武漢編。事実は常に隠蔽されているのが中国国内の常識なのだろう。
また中華人民共和国人民警察法で、人民警察はコンピューターシステム上の安全を守る職責があると規定されている。そして組織内でインターネットとコンピューターシステムの監視や取り締まりに当たる人民警察は『インターネット警察』と呼ばれている。つまり、中国のネット警察とは、断じて日本の民間正義厨を揶揄して謂う〇〇警察のようにヌルい?存在ではないのだ。

原文

在前往武汉前,记者和外媒的同行商定,为了提防微信上的网警,要是一切都好的话,他就会给他们发来照片,上面的人都是站着的;要是不好的话,就都坐着。
不久,记者真的来照片了,上面的人都是躺着的。

㊵『オンリーユー』
ある晩、武漢の市長とその愛人がピロートークの最中、市長はスッキリして気が大きくなったのか愛人に何でも欲しいものをプレゼントしようと言った。
愛人はちょっと考え、答えた。
「可愛いあなた、もしあなたが私のために何でもしてくださるなら、ロックダウンを解除してほしいわ。一日だけでいいから。」
市長は言った。
「もちろん問題ないよ、ハニー。」
とはいっても、市長は愛人のおねだりが少々腑に落ちず、聞いた。
「どうしてそんな事をしてほしいんだい?」
愛人は答えた。
「私、ただ単にあなたとだけ二人の世界を楽しみたいの。」

解説

前に出たジョークでは当時の武漢市長は地獄に落ちていたが、今回は甘い生活である。
当時の武漢市長、周先旺のご尊顔は人民網の地方リーダーアーカイブにて拝見可能。
周先旺 https://ldzl.people.com.cn/dfzlk/front/personPage4446.htm
ジョークなので、この武漢市長というのもそういう名の役割に過ぎないが、お顔を見ると感慨深いような気もする。
大勢の犠牲者が出たのにこのようなジョークが出るのは、権力者がその歓心を得るため民を犠牲にした傾国の美女の逸話が多い国ならではだろうか。
参考までに、傾国の美女の一人、コトバンクの褒似の逸話:

原文

一天晚上,武汉市长和情人在豪华寝室里说着枕边悄悄话。他心情舒畅,慷慨地许诺她一个礼物,要什么都行。
她想了一会,回答说:“哦,亲爱的,如果让你一定要为我做一件事的话,我希望是:解除封城令,一天就够了。”
市长说:“当然没问题,亲爱的。”
不过他对她这样的请求有些不解,就问,“为什么要我做这样一件事呢?”
情人回答说:“我只想和你单独享受二人世界。”

大量の武漢とコロナウイルスによる新型肺炎にまつわるジョークを紹介してきたが、それでは最後にふわっと短いジョークを紹介して今回はお開きとしよう。

㊶『理想の国』
できることなら、ニュース報道の世界に住みたい。そこは世界一幸福だから。

解説

まさに今中国北京五輪の世界である。海外のアスリートと記者向けに会場内でのみ西側ネットが解放され、車両の通行は規制され、工場稼働は制限され、青い空が広がり美辞麗句がまき散らされた美しい世界が広がっている。
五輪後、どのような「つはものどもが ゆめのあと」を繰り広げてくれるのか、憂鬱なことである。

原文

如果可以,我想生活在新闻联播里,那是最幸福的世界。

さて、気分を上げるため、中国共産党の哀れな手先、ネット紅衛兵への揶揄がこめられたとして瞬く間に人気を博した歌、「(ネット紅衛兵の)グラスハート」の紹介で今回は締めよう。
作詞作曲はマレーシア出身の歌手、黄明志。甘く聞きやすい歌声のデュエットソングである。


紹介動画の日本語解説は、東洋鏡にて反中共の言論を展開している愚公氏。
この愚公氏、実は日中両国で名高い水墨画家で、集広舎ニュースでも報道された『中国人権事情水墨画』を開いた宇宙大観その人である。
集広舎記事: https://shukousha.com/information/news/10020/
次回以降は彼の弁論はじめネットで反中共活動を行っている有志達についても展開していく予定ですので、是非お読みいただけたら幸いです。
虎に翼を添えたように、皆様の2022年(旧暦)がいよいよ盛んになりますように。
(如虎添翼=鬼に金棒)

ジョークの出典
中国禁网新闻
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