集広舎の本

拉致問題と日朝関係

拉致問題と日朝関係

書名:拉致問題と日朝関係
著者:村主道美
発行:集広舎(2021年3月15日)
判型:A5判 上製 480ページ
価格:4,500円+税
ISBN:978-4-904213-95-7 C3031
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紹介

拉致問題を風化させてはいけない。
故郷、家族、奪還、主権といった日本国内で強調される観念のみならず、アメリカ等の民主主義国家が敏感な「普遍的人権」という価値観も見据えながら日本外交最大級の難問の構造を考察するケーススタディ。

「拉致」が問題として世界に知られるまでに、誰かの意図があり、事実の発生があり、その事実が認識されねばならず、誰かが立ち上がり、誰かがそれを重視し、あるいは軽視し、誰かが省かれ、運不運があり、誰かの策が実り、あるいは実らず、相手の戦略と戦術があり、どこかで膠着し、どこかで突破があり、実現されない目標が残り、他の目標との衝突があり、ドラマの登場人物と観客が変わっていく。
日本人がまだ十分その複雑さを意識できていない、この入り組んだ過程と、この「解決」の難しさと、この問題に世界が固執しなければならない理由を分析する。

目次


第一部 開始
 I. 背景
 II. 条件と意味
 III. 安明進の証言
 IV. 浮上
 V. 模索
 VI. ポーランドからの手紙と金丸訪朝
 VII. 社会党の役割
 VIII. 金丸信の諸問題
 IX. 正常化交渉の開始と中絶
 X. 核疑惑への対処と対米協調(1993~94年)
 XI. 米支援問題(1995~96年)
 XII. 拉致被害家族の連帯
第二部 風穴
 I. 日本人妻里帰り
 II. テポドンと村山訪朝
 III. 官僚外交
 IV. コンフィデンスマン
 IV. 小泉訪朝
 V. 第一歩
第三部 第二歩未満
 I. Triage―被害者類型
 II. 成果の防衛
 III. 行く者・来る者
 IV. 「死者」の安否
 V. ミサイルと核
後記

著者プロフィール

村主道美(むらぬし・みちみ)
1957年山形県生まれ.B.L.(東京大学法学部),Ph.D.(International Politics, Departmentof Political Science, Yale University).過去Kennedy School of Government(Harvard University)フェロー,慶応大学総合政策学部非常勤講師,上海国際問題研究所客員研究員,復旦大学客員教授,北京大学客員教授.学習院大学法学部助教授を経て現在同大学教授.
著書・論文に“North Korea’s Abduction of Japanese Citizens”(Research Institute for Peace and Security, 2010),「論日米安保関係和沖縄問題」(臧宇世俊訳,香港天馬出版有限公司2013年),“北朝鮮難民問題における中国市民社会”(中居良文編「中国の対韓半島政策」〔お茶の水書房 2013年〕所収),「朝青龍の災難 斜陽に照り映える日本の『品格』」(Amazon Kindle 2014年),「ロヒンギャの『物語』と日本政府」(青山社 2020年),“カンボジア民主化の逆進と国際関係: 高度成長の生む親中的一党支配”(中居良文編「中国の南向政策」〔お茶の水書房 2020年〕所収)等がある