スペインの連帯経済ネットワークはREAS(レアス、オルタナティブ連帯経済ネットワークのネットワーク)で、スペイン17州のうちカンタブリア州を除く16州の地域ネットワークと6つの業種ネットワーク(リサイクル、倫理金融、再生可能エネルギー、フェアトレード、消費者生協と協同組合住宅)から構成されています。このREASの活動の一つに社会的監査が含まれていますが、2025年の結果が去る12月11日に行われたオンラインイベントで発表されましたので、今回はその内容を紹介したいと思います。なお、全文(スペイン語)はこちらで読めますが、こちらのサイトでは数字を目にすることもできます。
(社会的監査について紹介する)REASによる社会的市場についてはすでに紹介していますが、簡単にいうと連帯経済の基準を満たした商品やサービスを提供する市場の創造です。そして、この基準を満たしているかどうかを認証すべく、社会的監査が必要になるというわけです。2016年にカタルーニャ州のネットワークXES(シェスまたはチェスと発音)に所属する72団体から始まり、3年後には対象が188団体にまで増えました。この取り組みがその後、他州にも広がっていったわけです。
REASが2022年に改訂した憲章(日本語での解説はこちら)の中で6大原則(「平等」、「環境の持続可能性」、「協同」、「周辺環境への取り組み」、「真っ当な労働」と「富の公正な配分」)がうたわれていますが、これに基づいて今回は731団体(このうちREASに加盟しているのは555団体)が評価を受けました。これらの団体では4302名の組合員労働者(女性2743名、男性1537名、ノンバイナリー22名)と1万5035名の非組合員労働者(女性1万0392名、男性4600名、ノンバイナリー43名)は働いていますが、以下分野ごとに、いくつか興味深い数字を見てみることにしましょう。
平等および民主的統治
- 外部向けの透明性: 収支決算/予算42.57%、広報計画13.71%、年次行動計画/記録47.47%、倫理規範/定款46.61%、監査データ/社会的バランスシート46.24%
- 内部向けの透明性: 収支決算/予算64.36%、広報計画41.99%、年次行動計画/記録60.32%、内部基準および手続き60.46%、倫理規範/定款62.77%、総会の議事録52.81%、総会以外の意思決定機関の議事録42.28%
真っ当な労働
- 各ジェンダーに占める責任職の割合: 女性13.19%、男性14.70%、ノンバイナリー16.92%
- 平均年間給与: 男性2万6328.49ユーロ、女性2万6120.88ユーロ(男性比-0.79%)、ノンバイナリー2万4936.34ユーロ(男性比-5.29%)
- 健康増進のための積極的な施策導入: 81.17%
- 労働者への感情的配慮やケアのスペース: 82.2%
- 私生活と労働生活との調和のための施策: 正式なものあり59.78%、非公式なものならあり17.70%、なし22.52%
- 労使協定において定められた労働条件の改善策: 正式なものあり58.12%、非公式なものならあり13.56%、なし28.32%
- 研修: 検討せず2.36%、検討97.64%、研修受講向けに時間調整19.81%、受講時間を勤務時間に計上または研修費をカバー22.80%、受講時間を勤務時間に計上および研修費をカバー55.19%
富の公正な配分
- 収入総額(2024年、以下同じ): 8億5709万ユーロ(2024年末のレートで約1396億円、以下同じ)
- 費用総額: 8億3810万ユーロ(約1367億円)
- 経常利益: 1899万ユーロ(約30.97億円)
- 売上総額: 4億7437万ユーロ(約774億円、55.35%)。サービス協同組合(75.54%)や労協(72.50%)がこの割合が一番大きく、有限会社(65.71%)や財団(50.79%)がその次で、NPOはかなり小さい(28.66%)
- 補助金総額: 2億8345万ユーロ(約462億円、33.07%)。NPO(51.40%)や財団(31.92%)、労協(26.16%)でこの割合が大きい一方、有限会社(12.32%)やサービス協同組合(5.60%)では小さい
- 給与額の平均最大格差: 1.71倍
環境面での持続可能性
- 地元産のエコ製品の利用: サービス協同組合(88.24%)以外(労協、NPO、財団、有限会社)は全て94%以上
- 全ての電力が再生可能エネルギー: 労協(61.50%)が最大、サービス協同組合(58.82%)や有限会社(56.86%)が続く一方、NPOや財団は50%未満
- ゴミ: 分別(92.2%)、環境負荷の少ない素材や放送(76.88%)、再利用/修理(77.15%)、循環型経済(58.82%)、前述のどれも実施していない(3.15%)
周囲環境への取り組みと協同
- シェア: 経営のシェア(87.41%)、地域内のシェア(79.21%)、プロジェクトの共有(46.37%)、知識の共有(38.99%)
- 社会的市場の団体からの購入額(2025年): 2461万3439.58ユーロ(約40.13億円、購入総額の9.2%)
- その他非営利団体からの購入額(2025年): 2104万3622.51ユーロ(約35.78億円、購入総額の7.9%)
- 両者の合計: 約4567万ユーロ(約74.47億円、購入総額の17%)。2024年は4164万ユーロ(11.6%)だったため金額が増加
- 倫理銀行への加入率: 69.89%。特に労協やNPOで多い一方、サービス協同組合では50%程度
- 自らの商品またはサービスを共有する用意のある団体: 労協64.63%、NPO60.42%、サービス協同組合56.00%、財団44.44%、有限会社34.00%
- フリーソフトウェアの使用への取り組み: 不使用54.40%、使用45.6%(フリーソフトの定常的な使用のみ23.08%、フリーソフトのプロ向けプログラムも定常的に使用15.93%、大半のOSがフリーソフト6.59%)
また、この報告書ではこの10年間で、どれだけ社会的監査の活動が発展してきたかについても紹介されています。
- 対象事象者数: 320ヶ所(2015年)>731ヶ所(2025年)
- 関連する労働者数: 7257名(2015年)>1万9337名(2025年)
- 労働者における女性の割合: 52.20%(2015年)>67.93%(2025年)
- 事業規模: 2015年は2億5000万ユーロ程度だったので、3倍以上に拡大
- 余剰金を準備金に回した団体の割合: 75%(2015年)>59%(2025年)
- 余剰金のうち社会的連帯経済の金融機関に回した割合: 4%(2015年)>7%(2025年)
- 収入に占める売上の割合: 2017年までは60%を超えているがその後減少し、補助金の割合が増大
- 100%再生可能エネルギーを使用している団体の割合: 49%(2018年)>54%(2025年)
以下、これらの数字をちょっと分析してみたいと思います。
社会的連帯経済の中でも大きな存在を占める協同組合の場合、定款に関しては、特に機密文書にすべき性格のものではありませんから、本来であれば内外部に対して広く公開し、既存の組合員のみならず組合員になりたいと思っている人であれば誰でも読めるようにしておく必要があるでしょう。私たちが消費者として各種サービスの利用を始める場合、その際に契約書への署名が求められることが少なくありませんが、逆にいうと契約書という形で情報公開の責任は果たしていることになります。協同組合などに入会する場合も、本来であればそこの会員規則でもある定款、また少なくとも組合員であれば総会の議事録にアクセスできるようにすることは欠かせないでしょう。
また、非営利団体のみならず、営利を追求可能な労協においても、収入のかなりの割合が寄付になっていますが、これは行政からの自立を目指す協同組合の本来のあり方から考えるとちょっと心配です。協同組合の第4原則は「自治と自立」ですが、このあたりの原則から外れていないかどうかの監査も必要な気がします。2015年に多くの自治体で、そして2018年にはスペイン全国において社会的連帯経済の推進に積極的な政権になったことも補助金の増額につながったと言えますが、その一方で補助金漬けによる弊害の可能性もあるので、このあたりは慎重になったほうがよいでしょう。
社会的連帯経済にはさまざまな目標がありますが、その到達度を測る指標として社会的監査の実践は、日本でもそれなりに有益だと思われます。そのためには基盤として前述した憲章のような原則宣言が欠かせませんが、それさえあれば測定基準作り自体はそれほど難しくないと思われます。日本でも、このような取り組みを行ってみてはいかがでしょうか?















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