平成21年(2009)、私は『太宰府天満宮の定遠館』(弦書房)という一冊を上梓し、平成29年(2017)の『玄洋社とは何者か』に至るまで、一貫して自由民権運動団体・玄洋社に関する書籍を出版しました。この間、平成23年(2011)に出した『霊園から見た近代日本』は朝日新聞全国版に書評として紹介されましたが、この一書は朝日新聞に「玄洋社」という文字が大きく出たことから「玄洋社解禁の書」といわれています。
それというのも、玄洋社は日本が昭和20年(1945)の大東亜戦争、いわゆる太平洋戦争に敗北後、日本を占領統治した連合国軍総司令部によって解散させられ、以後、永年に渡って言論弾圧下にあったからです。自由民権運動団体として発足しながら、「右翼」というレッテルを貼られての封殺だったのです。
しかし、プレスコード(GHQによる新聞報道取締方針)を持つといわれる朝日新聞に先述の『霊園から見た近代日本』の書評が掲載され実質的な報道解禁になったと言われました。以後、私自身が講演会で話す機会が増え、関心を持って参加された方々から「玄洋社に関する書籍を紹介してください」と言われるようになりました。しかしながら、永年の言論封殺で玄洋社に関するまとまった研究論文、書籍は極めて少なく、断片的に記述されるものしかありません。
そこで、今回、玄洋社に関する書籍の紹介とともに、玄洋社と歩調を一にした人々、団体に関する文献、資料などを紹介していきます。なかには、玄洋社と関係がありながら、意図的に関係性を削除した書籍も紹介していきたいと考えています。
玄洋社の本質、実態を知っていただきたいと思い、コーナーを設けることになりました。宜しくお願い申し上げます。
浦辺 登