書名:慰安婦と兵士
副題:煙の中に忍ぶ恋
著者:山田正行
発行:集広舎(2021年05月01日)
判型:四六判/並製/224ページ
価格:1,400円+税
ISBN:978-4-86735-001-0 C0021
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紹介
慰安婦とは何であったか。私たちは「それ」を単なる事象として捉えてはいなかったろうか──。戦時下の回想、ルポ、手記、小説などを心理歴史的に読み解き、慰安婦と兵士の深層に迫る。冷静な分析の上に情愛をすくい上げ、悲惨な戦場に秘められた「人間の条件」を明らかにした比類なき一書。
◉ 本書『はじめに』より
慰安婦について、歴史の政治的利用により性と被害に偏した言説が繰り出されてきました。その側面は確かにあるでしょうが、兵士との愛もありました。しかも、死と隣りあわせの砲煙のたちこめる戦場において、だからこそ、その愛は文字どおり命懸けでした。この営為を軽々に考えてはなりません。そこには崇高なものさえ見出せるからです。
目次
はじめに
第一章 千鳥と柳
第二章 存在意義―伊藤の洞察と表現を通して―
第三章 恩京(金恩秀)と李佳烔
第四章 金春子と長井軍曹
第五章 田村の「肉体文学」
第六章 春美と三上
第七章 ヒロ子と原田
第八章 張沢民と佐田
第九章 「檻」―「世界―内―存在」を超える活写―
第十章 つかこうへいによる独創的な展開
第十一章 玉砕した慰安婦
第十二章 声なき声に耳を澄まし伝える
おわりに
参考文献
著者プロフィール
山田正行(ヤマダ・マサユキ)
大阪教育大学名誉教授、高野山大学特任教授、大阪府立大学客員研究員、教育学博士(東京大学)。アウシュヴィッツ博物館活動で2006年にポーランド共和国功績勲爵十字勲章受章。帝大セツルメントを引き継いだセツルメント診療所など包括する医療法人財団ひこばえ会オールドセツラー評議員。編著書に叢書『生涯学習』全10巻、『アイデンティティと戦争──戦中期における中国雲南省滇西地区の心理歴史的研究』、『希望への扉──心に刻み伝えるアウシュヴィッツ』、『平和教育の思想と実践』、『アイデンティティと時代』、『「ザ・レイプ・オブ・南京」を読む』、『戦中戦後少年の日記 1944-45年』、『「わだつみのこえ」に耳を澄ます──五十嵐顕の思想・詩想と実践』、『盛田嘉徳文庫目録(1、2)大阪府立大学史資料叢書Ⅱ、Ⅲ』、『今こそ教育!:地域と協働する教員養成』(共著)など。