左小祖咒 Live

第02回

左小祖咒【万事如意 Live】皮条客[日中字幕版]

▲左小祖咒「正宗」日中字幕版 HD

小社刊『艾未未読本』の編著者・牧陽一氏のご協力で、左小祖咒の2010年ライブ『万事如意』から日中字幕付き映像を数回にわたってご紹介します。第2回は『皮条客』です。

皮条客 作词作曲:左小祖咒《庙会之旅》1999所収        
让我帮你把时间浪费掉/现在我们一同把双手举起来/举起来放下放下来再举起来/你说你已经懒得举不起来/好吧,这里的事由我来帮助你/我去给我意识的我发个信息/她明晨5时25分会来接你/她不会带你走边道、高速线/她不是诗人。/她是个经营小时的/她明晨5时25分会来接你/她不会带你爬青山、涉小溪/她不是歌手她是个诚实的婊子

ポン引き
ちょっとお時間をいただきますよ/いっしょに両手を挙げましょう/挙げて下ろして 下ろしてまた挙げて/もう飽きましたか/いいでしょう ここは私にお任せ下さい/私の気になる方へお教えします/彼女は翌朝5時25分にあなたを迎えに上がります/彼女はあなたを脇道にも高速にもお連れしません/彼女は詩人ではない 彼女は時間給の個人経営者です/彼女は翌朝5時25分にあなたを迎えに上がります/彼女はあなたを連れて青い山を登ったり 小渓を渡ったりはしません/彼女は歌手ではない 彼女は誠実な娼婦です

「ポン引き」は客引きのことばをそのまま詩にしている。例の甲高い声を使っている。両手を上げたり下ろしたりさせる動作も人を小馬鹿にした狡猾さを感じるが「彼女はあなたを脇道にも高速にも連れはしません」というのも売春の客引きという生業から別の意味を想像するかもしれない。こうした猥雑で俗悪な部分もズージョウの魅力にはなっている。

 2013年4月6日RFI報道では艾未未の映像作品MV「赤壁」を撮影した徐偉が10日間拘留された。売春法違反というが実際は「艾未未と関係があるから」という理由だろう。徐偉の家族は艾未未とは関わりたくないと言っている。艾未未への「いやがらせ」をかさねている。協力者を弾圧して艾未未を孤立させようと意図しているものと考えられる。協力者への弾圧はこの後も続いていく。艾未未とは直接関係のある人物ではないが、同年2013年8月23日、インターネットの自由化を主張していた著名なブロガーであり投資家の薛蛮子が買春容疑で逮捕された。この事について艾未未は8月30日「権力者が下品な手段を使って体制批判者の顔に泥を塗るやり方は、この国家が倫理の最低線さえも喪失し、自力では抜け出せないほどの堕落に陥っている事を証明している」と述べている。
 
 2013年5月8日海南省万寧で、小学生の校長ら2人が女子小学生6人をホテルに連れ込み、暴行した。また中国広東省雷州市の小学校で、校長が在校生である小学6年生の女児2人を繰り返し強姦していたことが分かった。(5月24日付中国新聞網)このほか5月下旬までに、安徽、河南、湖南、広東など各省の小学校の校長や教師らが女児らにわいせつな行為をした事件が7件も発覚した。広西省に住む女性活動家・葉海燕(37歳)は、女子小学生らとホテルに泊まった小学校校長が勤めていた小学校の前で、「校長先生、Hしたいなら私を呼んで、小学生には手を出さないで(校長、開房找我、放過小学生)」 という内容のプラカードを持って抗議した。葉海燕は艾未未が猥褻罪に問われたヌード写真の中の一人である。彼女は性サービス業に従事しており(つまり娼婦だが)、2005年に武漢で「中国民間女権工作室」を設け、性産業の合法化、公民として性産業従事者の安全、健康、基本的人権を政府が保証することを訴えてきた。2012年1月、葉海燕は「十元店」と呼ばれる最下級の風俗店で、お金の無い出稼ぎ労働者のために無料で性サービスを行った。すでにYoutubeに艾未未工作室によるインタビューが載っているが(2010年8月26日 对叶海燕(流氓燕)的采访)、かなり以前からの艾未未の仲間である。3日後の5月30日、現地警察当局は人を切りつけたとして傷害の容疑で彼女の身柄を拘束した。葉海燕の代理弁護士によると、当日、正体不明の11人もの人が彼女の自宅に進入し、彼女と娘に危害を加えようとした。危険を感じた彼女は調理包丁を振り回した。この事件についてネット上では 「葉海燕の抗議行動への当局の報復だ」「仕掛けられた罠だ」 といった書き込みが殺到したという。さらに多くの人々が葉海燕と同様のメッセージプラカードを掲げた写真がネット上に出現した。

 葉海燕が逮捕された翌5月31日、広州の中山大学の女性教授・艾暁明(60歳)が「校長先生、Hしたいなら私を呼んで、葉海燕を放して」とヌードの身体に書いた写真を公開して葉海燕を応援した。艾暁明もまた古くから艾未未の同志的存在で、フェミニズム問題を追及してきた。また2010年四川大地震の責任追及をしていた譚作人のドキュメンタリー「花儿为什么这样红」(艾未未工作室)も制作している。
 
 実は売春の問題は 女子児童への性侵害、女性の権利の保護、人権を思考させ、「性暴力に対して強靭な反強姦文化を構築すべきだ」という艾暁明のフェミニズムへと繋がっていく。そして政府が批判的人物の口封じをする口実としても使われていることを知っておくべきだろう。ズージョウはこうした多くの問題を内包することをこの作品で示唆してもいる。

 附:2014年旧正月の10日目(2月9日)午後から、広東省東莞市は合計6525人の警官を出動させ、市内全域の性風俗店で同時捜査を行い、夜10時までに67人を逮捕した。
 ここには警察の一部や権力者が風俗店から保護費用を取り、腐敗を激化させているという問題がある。