2018年7月13日[金]18:00 – 21:30(17:30開場)
会場:福岡中央市民センターホール
劉暁波(りゅうぎょうは)が遺したものとは?
来たる7月13日午後6時より福岡市中央市民センター大ホール(所在地:福岡市中央区赤坂2丁目5番8号)にて、中国のノーベル平和賞受賞者・劉暁波氏の追悼シンポジウムを行います。
劉暁波氏は1989年の中国における民主化運動でリーダー的役割を果たしたことから投獄され、以後、度重なる拘束や軟禁生活を強いられながら、中国の民主化に向けて多大な功績を残しました。2008年にインターネット署名活動「〇八憲章」の主宰者として投獄され、獄中でノーベル平和賞を受賞しましたが、授賞式に参加できず、昨年7月13日に病気のために囚われの身のまま亡くなりました。
このたびの集いは劉氏の命日にあたる7月13日に行われます。中国は国家主席である習近平氏のもとで中国共産党による一党独裁体制が強化されていますが、中国の国際的地位および諸外国への影響力が高まるにつれ、中国の内政のあり方は他人事で済まされなくなりつつあります。他方で中国・香港における言論統制により内政を監視・管理する声はむしろ弱まっていると言わざるを得ないのが現状です。そこで福岡県の有志および福岡市の出版社・集広舎が中心となって、劉氏が遺したものを知り、これをいかに今後の対中関係やアジアの平和につなげていくかを考えるために、毎年7月13日に追悼シンポジウムを開くことを決意した次第で、今回がその第1回目になります。
今回のフォーラムでは東京、大阪、熊本より専門家を招き、さらに台湾からは劉氏への豊富なインタビュー経験を持ち、現在台湾で中国・台湾関連の多数のイベントを開催する楊憲宏氏(台湾関懐中国人権連盟代表)も参加します。地元・福岡の論者も交え、劉氏の遺したものの現代社会における意味を問い直したいと思います。中国および日本の言論界において、しばしば「反体制派」と見なされる劉氏ですが、彼の伝記である『劉暁波伝』(集広舎、2018年)からもわかるように、彼はけっして政権打倒などを主張したわけではありません。同様に本集会においても中国政府あるいは中国・日本社会に対するさまざまな考え方の違いをこえて劉氏について語れる集会にし、近代以降、中国やアジア各地の近代化に大きく尽力した過去を持つ九州から日本、中国、アジアに向けて声を上げる一端になればと思う次第です。ご関心を抱いていただければ幸いです。
主催:劉暁波追悼フォーラム実行委員会
後援:西日本新聞社、産経新聞社、読売新聞西部本社、朝日新聞社、毎日新聞社。福岡市教育委員会
問合せ先:集広舎(川端 070-5271-3767)
追悼記念フォーラム スケジュール
会場:福岡市中央市民センター大ホール 入場料:1000円
日時:平成30年(2018年)7月13日(17:30開場)
開場:18:00開始
進行(司会:能楽師・吉住講)
第一部 劉暁波が遺したもの
18:00 あいさつ&会の紹介 黙とう1分間(開始が数分遅れること前提)
18:10 及川淳子(中央大学文学部准教授)──劉暁波の思想と行動
18:40 横澤泰夫(元熊本学園大学教授)──「劉暁波伝」の意義
19:05 麻生晴一郎(ルポライター)──劉暁波と中国社会、そして日本社会
19:30 楊憲宏(台湾関懐中国人権連盟代表)──台湾における劉暁波(通訳:劉燕子)
19:55 休憩10分間(会場の机の移動)
第二部 劉暁波をいかに受け継ぐか
20:05 浦辺登(ノンフィクション作家)──中国の民主化と福岡
20:30 劉燕子(作家、現代中国文学者)──魂が何でできていようと、彼と私のは同じ──劉暁波と劉霞の詩想
21:00 参加者の質問にもとづくトーク会(司会:石井英俊)
21:30 閉会以降 書籍販売及サイン会
登壇者略歴一覧
麻生晴一郎(あそう・せいいちろう)
1966年福岡県生まれ。東京大学国文科在学中、中国ハルビン市において行商人用の格安宿でアルバイト生活を体験、農村出身の出稼ぎ労働者との交流を深める。大学卒業後、テレビディレクターなどを経て、現在はフリーのルポライター。主に中国の農村出身者を取材し、草の根からの市民社会形成などを伝えている。また、香港のネット新聞「東網」、台湾のネット新聞「雲論」などで中国語による連載記事を書く。2013年8月に『中国の草の根を探して』で「第1回潮アジア・太平洋ノンフィクション賞」を受賞。また中国内陸部から草の根の市民活動家を招く「日中市民交流対話プロジェクト」を年1回開催している。主な単著に『北京芸術村:抵抗と自由の日々』(社会評論社)、『旅の指さし会話帳:中国』(情報センター出版局)、『こころ熱く武骨でうざったい中国』(情報センター出版局)、『反日、暴動、バブル:新聞・テレビが報じない中国』(光文社新書)、『中国人は日本人を本当はどう見ているのか?』(宝島社新書)、『変わる中国「草の根」の現場を訪ねて』(潮出版社)、共著に『艾未未読本』(共著、集広舎)『「私には敵はいない」の思想』(共著、藤原書店)など。
浦辺登(うらべ・のぼる)
昭和31年、福岡県筑紫野市生まれ。福岡大学卒。日本近現代史を中心に研究、執筆、講演、史跡案内を続けている。著書に『太宰府天満宮の定遠館―遠の朝廷から日清戦争まで』(弦書房)、『霊園から見た近代日本──青山霊園、谷中霊園、泉岳寺、木母寺の墓地から見る近代日本の姿』(弦書房)、『東京の片隅からみた近代日本』(弦書房)、『アジア独立と東京五輪──「ガネホ」とアジア主義』(弦書房)、『玄洋社とは何者か』(弦書房)
及川淳子(おいかわ・じゅんこ)
中央大学准教授。桜美林大学、慶應義塾大学卒業。日本大学大学院修了。博士(総合社会文化)。外務省在外公館専門調査員(在中国大使館)、桜美林大学専任講師を経て、2018年4月より現職。専門分野:現代中国社会、言論空間。主な著訳書、論文は『劉暁波と中国のリベラリズム』(石井知章編著『現代中国のリベラリズム思潮──1920年代から2015年まで』藤原書店)、『現代中国の言論空間と政治文化──「李鋭ネットワーク」の形成と変容』(御茶の水書房)
楊憲宏(よう・けんこう)
台湾の著名なジャーナリスト、人権活動家、カリフォルニア大学バークレー校公共衛生学修士、台湾關懐中国人権聯盟理事長。ラジオ番組「人民に奉仕する-楊宏憲アワー」の司会・プロデューサー。台湾行政院新聞局金鼎奨など数々受賞。台湾海峡の両岸の当局間交渉において「人権対話のプラットホーム」を創立すること、また、難民法の制定を推進して中国大陸の「良心の囚人」(政治犯)の救済を求めている。
横澤泰夫(よこざわ・やすお)
昭和13年(1938年)生まれ。昭和36年、東京外国語大学中国語科卒。同年、NHK入局。平成6年熊本学園大学外国語学部東アジア学科教授(平成22年退職)。主な著訳書に『毛沢東側近回想録』(師哲著、新潮社)、『神格化と特権に抗して──ある中国「右派」記者の半生』(戴煌著、中国書店)、『中国報道と言論の自由──新華社高級記者・戴煌に聞く-』(戴煌述、中国書店)、『嵐を生きた中国知識人──「右派」章伯均をめぐる人々』(集広舎)、『天安門事件から「08憲章」へ』(共著、藤原書店)、『「私には敵はいない」の思想』(共著、藤原書店)、『台湾史小辞典』(中国書店)、『安源炭坑実録──中国労働者階級の栄光と夢想』(于建嵘著、集広舎)、『黄禍』(王力雄著、集広舎)、『劉暁波伝』(余傑著共訳、集広舎)
劉燕子(リュウ・エンシ)
作家、現代中国文学者。中国北京で生まれ、湖南省長沙で育つ。大学で教鞭をとりつつ、日本語と中国語のバイリンガルで著述・翻訳。日本語では『黄翔の詩と詩想』(思潮社)、『温故一九四二』(劉震雲著、中国書店)、『中国低層訪談録──インタビューどん底の世界』(廖亦武著、集広舎)、『殺劫──チベットの文化大革命』(ツェリン・オーセル著、共訳、集広舎)、『ケータイ』(劉震雲著、桜美林大学北東アジア総合研究所)、『私の西域、君の東トルキスタン』(王力雄著、監修・解説、集広舎)、『天安門事件から「〇八憲章」へ』(共著、藤原書店)、『「私には敵はいない」の思想』(共著、藤原書店)、『チベットの秘密』(ツェリン・オーセル・王力雄著、集広舎)、『劉暁波伝』(余傑著、集広舎)、『毒薬詩集』(劉霞著、共訳編、書肆侃侃房)、『独り大海原に向かって 詩集』(劉暁波著、共訳編、書肆侃侃房)、中国では『這条河、流過誰的前生与后生?』(単著)、『没有墓碑的草原』(共訳)等。