講演会のご案内

シンポジウム 中国における人権保障の確立を考える

 2014年5月、1989年6月4日の天安門事件から25年となる6月4日を前に、北京市内の一般市民の住宅で内輪の勉強会を開催し、事件の真相究明を要求していた中国の著名な人権派弁護士・浦志強氏ら十数名の弁護士、学者、作家らのうち、5人が「騒動惹起罪の容疑で拘束されました。その後、4人が保釈されましたが、浦氏だけは6月13日に最長10年の禁固刑となる「騒動惹起罪」と最長3年の禁固刑となる「個人情報の不法取得罪の容疑で正式に逮捕されました。

 浦氏が、「騒動惹起罪や「個人情報の不法取得罪という不明瞭な内容の不明瞭な容疑で逮捕されたことに対し、中国国内だけでなく、国際社会においても「法治の後退だ」として落胆の声が広がっています。現在中国では、浦氏だけでなく、高い理想と専門性をもち、積極的に活動する少なからぬ人数の弁護士や、良心と理性をもって、豊かで平和な未来のために尽力する活動家、ジャーナリスト、研究者などが、「公共秩序騒乱罪」「国家転覆煽動罪」「騒動惹起罪」「国家機密漏洩罪」などの容疑で拘束、逮捕され、有罪判決を受けています。

 隣国に住む私たちは、このような中国の情勢をどのようにとらえればよいのでしょうか。市民社会の成長を阻止し、各分野の専門家の活動の幅を狭めるような規制は、持続可能な発展を目指す中国にとって、大きな足枷となると考えられます。しかし、共産党による一党体制を貫く中国は、独自の論理を展開し、言論・思想界や人権活動に対する引き締めを強化しています。

 こうした中、私たちは中国の人々と、どのように価値観を分かち合い、相互理解をすすめればよいのでしょうか。社会的責任を負い、人権保護のために行動する中国の弁護士、活動家、ジャーナリスト、研究者などが、心身の自由を保障され、存分にその社会的使命を果たすためには、どのような条件が必要となるのでしょうか。

 本シンポジウムでは、「憲政民主」の主張が注目されている北京大学法学院の張千帆教授をお招きし、基調講演をしていただいた後、こうした問題について徹底的に討論いたします。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。

◎日時:2014年07月28日(月)18:00〜21:00
◎場所:明治大学 グローバルフロント ホール(住所:千代田区神田駿河台21)
◎主催:「中国における人権保障の確立を考える」シンポジウム実行委員会
◎共催:北海道大学法学研究科附属高等法政教育研究センターほか
◎お問い合わせ先:201405chinaforum@gmail.com(クリックでメーラーが起動します)

プログラム

〈第一部〉
 基調講演「中国の権利保護運動および人権保障の現状と課題(張千帆 北海道大学法学研究科教授・北京大学法学院教授)

〈第二部〉 討論
(1)浦志強弁護士の逮捕及びその後の状況について(東京大学・阿古智子准教授)
(2)パネルディスカッション「日中の市民に何ができるのか」(明治学院大学・東澤靖教授、北海道大学・鈴木賢教授、ヒューマンライツウォッチ日本代表・土井香苗弁護士、日弁連国際委員会・上柳敏郎弁護士、明治大学・石井知章教授ほか)

張千帆教授張千帆教授プロフィール
1964年上海生まれ。南京大学物理学部を卒業後、1984年に渡米。1989年、カーネギーメロン大学で物理学の博士号を取得。カリフォルニア大学で研究員を務めた後、1992年にメリーランド大学法学院に入学し、法学を学ぶ。1995年にはテキサス大学オースティン校に入学し、1999年に同校の政治学博士を取得した。帰国後、南京大学で教鞭をとり、現在は、北京大学法学院、北海道大学法学研究科教授。一貫して「憲政民主(憲法に基づく政治と民主の実現)を主張しているほか、戸籍制度による差別を批判し、教育を受ける機会の平等を求める運動も展開している。

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