▲アイ・ウェイウェイ『朝陽公園』日本語字幕版[HD]
小社刊『艾未未読本』の編著者・牧陽一氏のご協力で、艾未未の映像作品(日本語字幕版)を数回にわたって紹介します。第3弾は『朝陽公園 – チャオヤン・パーク』(Chaoyang Park 朝阳公园)です。
朝陽公園(Chaoyang Park 朝阳公园)
尾行、警察とのやりとりは「朝阳公园(朝陽公園)」にも描写されている。朝陽公園は艾未未のスタジオから近い散歩コースだ。2013年8月18日、艾未未(アイ・ウェイウェイ)らが逃げる尾行を捕まえて、警察に突き返すMV映像がユーチューブに発表された(Chaoyang Park 朝阳公园)。本来犯人を追いかけるはずの警察が艾未未に追いかけられている。実に滑稽な映像だ。個人のプライバシーを守ってやるために顔は隠してあるが、これが一層笑いを誘う。艾未未と警察の立場が完全に逆転している。この映像が公表された後に艾未未は「もう尾行がつかなくなった。奴らは我々に映像を撮られるのを怖がっている」と語っている。大方は実際の会話からだが「シャワーも手錠をはめたままだ」には艾未未の獄中の記憶が反映されている。
「盗んだらすぐに逃げろよ」という言葉には特別な意味が付加されているように思われる。昨今「裸官」という言葉が流行している。財産や家族を海外に送り、自分だけ一人が何も持たず(裸で)中国に残り、いつでも海外逃亡できるように準備している政府高官を指す。2012年10月、温和で人民の支持もあった温家宝のファミリーが数々の大企業と関係し,巨額の私財を持っていることがニューヨークタイムスに発表された。また現在、李鵬の娘李小琳や鄧小平の息子鄧朴方が1千億ドル持って海外逃亡中と噂されている。すでに鄧小平の娘婿 賀平、王震の息子 王軍、陳雲の息子 陳元が1万6千億ドルを持って海外へ逃亡したという。1980年代以降の市場経済導入を指揮してきた政府高官の子弟が中国の金を奪って海外逃亡していくこともこの詞では揶揄しているのではないだろうか。
牧 陽一
第1回/アイ・ウェイウェイ映像作品「傻伯夷」
第2回/アイ・ウェイウェイ映像作品「老媽蹄花」
第4回/アイ・ウェイウェイ映像作品「明日を返せ」
◎参考:映画『アイ・ウェイウェイは謝らない』公式サイト(2013年11月30日公開)
◎参考:ARTiT 連載/艾未未のことば – 牧陽一