百鬼夜行の国際政治
「対中A2/AD」は宮古海峡から

「対中A2/AD」は宮古海峡から

北朝鮮は7月25日から8月16日にかけて、日本海へ向けて6回にわたりミサイルとみられる飛翔体の発射実験を行った。米韓合同演習への警告と新開発兵器の実験とみられているが、防衛省は「我が国領域や排他的経済水域(EEZ)への弾道ミサイルの飛来は確認されておらず、現時点において、我が国の安全保障に直ちに影響を与えるような事態は確認されていません」とのコメントを出し続けている。北朝鮮は、国連安保理決議によって… [全文を読む]
「独立宣言」の伝道者

「独立宣言」の伝道者

アメリカの首都ワシントンで7月4日に行われた今年の独立記念日の祝賀式典は、航空ショーと見まがうばかりの異様なものだった。リンカーン記念堂から連邦議事堂に至る東西約3キロメートルのナショナル・モールを埋めた人々の上空を、大統領専用機エアフォース・ワンを手始めに、海兵隊のVH-92オスプレイ、海軍のブルー・エンジェルス・チーム、空軍のB-2スピリット・ステルス爆撃機とF-22ラプター・ステルス戦闘機、沿岸警備隊のC-130輸送機、陸軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターが次々に飛行したのだ。しかも大統領が演説… [全文を読む]
日米安保の要に急浮上したF-35B

日米安保の要に急浮上したF-35B

元号が「令和」に代わったばかりの5月下旬、「令和」時代最初の国賓としてトランプ米大統領が日本を訪問し、四日間にわたり安倍首相と濃密な首脳会談を繰り広げた。外交に秘密は付き物だし、秘密合意もあるかもしれないが、今回両首脳が世界に発したメッセージは極めて明確で、かつまた強烈だった。佐世保を母港とする米艦「ワスプ」と呉を母港とする海上自衛隊の護衛艦「かが」とを、在日米海軍司令部と海自の司令部がある… [全文を読む]
清国に手を差し伸べたリンカーン

清国に手を差し伸べたリンカーン

合衆国の歴代大統領の中で人々に最も敬愛されているのは、第16代大統領アブラハム・リンカーンだ。当時、辺境(フロンティア)と呼ばれていたケッタッキー州の貧しい開拓農家の家庭に生まれ、苦学して弁護士となったリンカーンは1854年、奴隷制の拡大反対を党是とする共和党創設に参加。分離独立を宣言した南部十一州との戦い、「アメリカ市民戦争」という建国以来最大の国家分裂の危機の中で大統領に就任し… [全文を読む]
米建国神話の明暗とクーリー

米建国神話の明暗とクーリー

多様性を尊重する「移民大国」をアイデンティテイとして自負してきたアメリカは、共和党のドナルド・トランプが大統領に就任して以来国論が真二つに分断され、トランプは最近、憎悪を込めた口調で「もう移民はいらない」とまで広言している。この大統領には、白人至上主義の陰が色濃く付きまとう。徳川幕府がヨーロッパ船の来航を平戸と長崎に制限した同じころの1620年11月、北米東海岸のコッド岬に3本マストの商船「メイフラワー号」が到着した。イギリス南西部のプリマスを出港して大西洋横断の65日間の航海だ… [全文を読む]
クーリーはなぜ米国に来たのか

クーリーはなぜ米国に来たのか

ハリウッド映画『シャンハイ・ヌーン』(2000年作品)は、香港出身のジャッキーチェンがテキサス出身のオーウェン・ウィルソンと共演した西部劇アクション映画だ。清王朝の王女が誘拐され、近衛兵のジャッキーがカリフォルニア州の東隣り、ネヴァダ州の州都カーソン・シティ目指して身代金を運び、王女救出を目指すという荒唐無稽な筋立ての映画である。間抜けでお人よしの列車強盗を演じるウィルソンとジャッキーのやり取り… [全文を読む]
米開拓農民のイノヴェーション

米開拓農民のイノヴェーション

16世紀のフランドル地方の画家ピーテル・ブリューゲルに「バベルの塔」という大作がある。旧約聖書の「創世記」を題材に、人類がレンガとアスファルトで天に届く塔を建設する様子を描いた作品だ。七層、八層と建築が進む巨大な塔が、縦114センチ、横155センチの画面中央に圧倒的迫力でそびえ立つ。手前に塔を発注したニムロデ王をやや大きめに描いている他は、材木を運ぶ筏、巻き上げ機でレンガを上げる人夫たち… [全文を読む]
アヘンの呪い招き寄せた米国

アヘンの呪い招き寄せた米国

ブエノスアイレスで昨年12月1日に開かれた米中首脳会談で、トランプ大統領は中国で違法に製造された薬物フェンタニルの米国流入対策として、製造業者を死刑に処すよう習近平主席に求めた。アヘンを精製した鎮痛剤モルヒネの100倍も強力とされるこの薬物により、2017年に全米で77000人が死亡したとトランプ大統領は主張し、習主席も取り締まりを約束した。報道を奇異に思われた方も多いだろう。貿易問題ばかりに焦点が当たった首脳会談ではあったが、薬物中毒が蔓延する米国と… [全文を読む]
清国貿易から鉄道事業へ

清国貿易から鉄道事業へ

火薬製造のデュポン、石油採掘のロックフェラー、不動産と銀行のメロンと、今尚アメリカのファミリー企業のトップにそびえ立つ企業群は、19世紀初めから中葉にかけて誕生した。しかし、当時産業の規模として最大だったのは鉄道業である。多額の資本と膨大な労働力を注ぎ込み鉄路を敷設する鉄道事業は、若々しい独立国アメリカの国造りの根幹、経済の大動脈づくりとなるビッグ・ビジネスだった。17歳で清国との貿易に乗り出し、若くして富と名声を築いたジョン・マレー・フォーブス… [全文を読む]
公式夕食会の食器に認定されたチャイナ

公式夕食会の食器に認定されたチャイナ

米国の大統領府、ホワイトハウス一階には「チャイナ・ルーム」という名称の部屋がある。外国首脳との夕食会、閣僚の食事会、大統領夫人の食事会などに使用する、米国の威厳を象徴する応接間だ。なぜ「チャイナ」なのか。それはこの部屋がティーセットやディナーセットの名品を展示するだけではなく、実際に来客にも使用する、世界有数のチャイナ(磁器)の生きた“美術館”でもあるからだ… [全文を読む]
アメリカの建国と喫茶文化

アメリカの建国と喫茶文化

地球規模で人類の歴史を変える原動力となった食物がある。ブラジルやカリブ海の島々に労働力としての黒人奴隷を出現させた砂糖、アイルランドやドイツに大飢饉をもたらして民族移動の波を起こしたジャガイモ、そしてイギリスと清国とのアヘン戦争や、アメリカ革命(独立)の契機となった「茶」である。東アジアからインド北部を原産地とする「茶」には、二系統の名前がある。福建語起源の「テ(ティー)」と広東語起源の「チャ」である。西欧における喫茶の習慣は… [全文を読む]
露空母クズネツォフの黄昏

露空母クズネツォフの黄昏

アメリカ海軍とフランス海軍は今年4、5月の2カ月間にわたり、米ヴァージニア州沖で合同演習「チェサピーク・ミッション2018」を実施した。フランス唯一の空母シャルル・ド・ゴールの艦載機や乗組員が米原子力空母ジョージ・ブッシュに乗り込み、米軍の実弾を使用したり、フランス軍パイロットが米軍の早期警戒管制機を操縦し、米軍スタッフとともに飛行する演習まで行った。両海軍は2008年にも小規模の合同演習を行ったが、今回フランス側はラファール戦闘機12機… [全文を読む]
蒋経国と鄧小平──二つの改革開放

蒋経国と鄧小平──二つの改革開放

今年は中国の鄧小平が工業、農業、科学技術、国防の四つの近代化を掲げ「改革開放」、つまり市場経済の導入へと舵を切って40年を迎える節目の年である。鄧小平が権力を確立したのは、中国共産党第11期中央委員会第3回全体会議(「3中全会」1978年12月18~22日)で、毛沢東の負の遺産の解消-文化大革命で失脚した人々の復権や新たな国造りに着手した。共産主義国家・中国の一大転換点である… [全文を読む]