明子の二歩あるいて三歩さがる
もしダライ・ラマがいなくなったら──すべてを包みこむ象徴の重み

もしダライ・ラマがいなくなったら──すべてを包みこむ象徴の重み

チベットの精神的指導者ダライ・ラマは、2018年秋に25回目の来日を果たした。横浜、東京、千葉、福岡で法話や講演を行ったほか、NHKなどのマスコミインタビューにも応じ、10日間の来日日程を精力的にこなした。今回の来日の最大のイベントである横浜パシフィコの3日間の法話、灌頂は、平日午前中の開催… [全文を読む]
チベット旅行で思ったこと、感じたこと⑥ パノプティコンと焼身自殺

チベット旅行で思ったこと、感じたこと⑥ パノプティコンと焼身自殺

ラサは中国国旗が至るところに舞い、検閲所のボディスキャナーを通過しなければ街に入れない。中心街を通り抜けることもできない。チベット亡命政権はその状況を監獄にたとえている。だが、そこは明るい笑顔と活気ある人々の生活もあった。ラサは成長する経済の足音が聞こえ、寺院が修復され、観光産業が振興する街… [全文を読む]
チベット旅行で思ったこと、感じたこと⑤ 青蔵公路、冬虫夏草

チベット旅行で思ったこと、感じたこと⑤ 青蔵公路、冬虫夏草

青海省西寧とチベット自治区ラサをつなぐ青蔵公路は片方一車線しかない。道は青蔵鉄道と平行している。追い越し車線のないその一本道を観光用の四輪駆動車やミニバン、物資輸送用トラック、そして軍事演習前後の軍用車が走る。なかでも一番多いのは物資輸送のトラックだ。チベット自治区ナンバーや近隣省の… [全文を読む]
チベット旅行で思ったこと、感じたこと④ 草原の憂鬱

チベット旅行で思ったこと、感じたこと④ 草原の憂鬱

過去3回の中国・チベット旅行のうち2回は北京の旅行代理店で旅程を組んでもらった。中国との往復航空チケットだけ自分で手配し、訪問希望地を伝え、後の手配は全てお任せ。ホテル、観光名所のチケット予約、移動手段の確保など、全て事前にやっておいてもらう。やりとりは電子メール、言葉は英語、支払いはクレジットカード。完全カスタムメイドなのにわずか3日ほどでアレンジが終わる。中国到着後は一人のガイドが全旅程を… [全文を読む]
チベット旅行で思ったこと、感じたこと ③ 回る人たち

チベット旅行で思ったこと、感じたこと ③ 回る人たち

チベット人の習俗の大きな特徴の一つは、「回ること」だ。チベット語で「コルラ」と言う。寺の境内の周りを回る、バルコル(ラサの巡礼路)を回る、仏塔の周りを回る。据付けられたマニ(祈祷)車を次々と回しながら、あるいは、手に持つデンデン太鼓のようなマニ車を右回りに回しながら。あるいは、数珠を操り、経文を唱えながら。五体投地をしながら… [全文を読む]
チベットで見たこと、思ったこと② 爆、爆、爆!

チベットで見たこと、思ったこと② 爆、爆、爆!

観光スポットにバスが着くや、中国人観光客がぴょんぴょん飛び出して来る。ソーシャル用の証拠写真を撮るために。大人も子供のように走り回る。ゴミをポイ捨てする。ツバを吐く。叫ぶ。どなる。携帯スピーカーからウィーチャットに話しかけ続ける。酸素ボンベのチューブを鼻から垂らして騒いでいる人もいる。ホテルのバイキングでは、食べ物をごっそり皿に盛り、ごっそり残す。箸を直角に皿に突き刺し、首を低く突き出して… [全文を読む]
チベットで見たこと、思ったこと ①

チベットで見たこと、思ったこと ①

夏休み、初めてラサを旅行した。高山病にならず、交通事故に遭わず、公安にスマホを取り上げられることなく、拘束されることなく、飛行機の遅延もなく、日本に戻ってこられて良かった! 2008年のチベット騒乱から10年。中国にとってチベットはどんどんセンシティブのレベルが上がっており、なるべく外国の関心がそこに向かないようにしているように見える。チベット自治区には、もはや外国人は数えるほどしか住んでおらず… [全文を読む]
エアコンのある世界、ない世界

エアコンのある世界、ない世界

「いのちにかかわる暑さが続いています! 猛暑はまだまだ続きます! 夜もエアコンを適切に利用してください」──今年の夏、毎晩、テレビニュースはそんな言葉を連呼していた。では、日本より暑いサウジアラビアやインドやフィリピンでは誰もが夜な夜なエアコンを入れて寝ているのか? そうでもなさそうだ。世界的に見ると、1家にエアコン1台はまだまだ贅沢だ。世界的には多くの人が夜になっても気温が30度より下がらない… [全文を読む]
いすみの古民家 ②

いすみの古民家 ②

わたしたちの家を見て、いすみの地元の人は率直に言う。「こんな家、よく、買いましたね」「こういう家に住みたいって感覚、ちょっとぼくらにはわかんない」古民家を好きなのは都会人だけ。それはまるで田舎の人の好みではないのだ。田舎の人はツルツル、ピカピカしたモノが好き。それに対して、都会の人はザラザラ、ゴワゴワしたモノが好きだ。考えてみれば、白洲正子も、ソローも、ターシャ・チューダーも、古いモノや自然を愛した著名人は誰もが、もともとは生粋の都会人だった… [全文を読む]
いすみの古民家

いすみの古民家

「古民家、見てみる?」──夫の言葉に背を押され、インターネットで物件探しをはじめたのは3年前。人生は短い。「いずれ…」という先延ばしはもうやめよう。多少がんばれば実現できることなら、だれにも遠慮せず、やってしまおう。昔から古いものが好きだった。建築も工芸も、古いものは美しい。フランス人は19世紀の建物にいまも普通に住んでいるし、チベット人は、お香の匂いのする古い文明をいまも守っている。だから、わたしはフランスやチベットが好きなのだ… [全文を読む]
陰キャと陽キャ

陰キャと陽キャ

「ママ、高校時代どんな子だった?」会話らしい会話もなくなった高1の息子から話しかけられると無条件にうれしい。それも、わたしのことを聞いてくれるなんて。自分語りの機会を逃すまじと長い演説が始まる。「えーとね、基本、目立たない普通の子だったんだけどね、『あぶれる』っていうのが一番、怖かったかな。球技大会や社会のグループ授業なんかで、先生が決めるんじゃなくて、生徒が好きな子たちでグループ作るってときがあるでしょ。『はーい、皆さん、席を立って… [全文を読む]
ウィンブルドン化する東京

ウィンブルドン化する東京

はたらく人が足りない。スーパー、コンビニ、飲食店、マッサージ店。どこもかしこも労働力の逼迫を感じる。一番よく見えるのがサービス業で、いつのまにか、周りは中国人、ベトナム人、インドネシア人の店員ばかり。一体、日本人の主婦や学生はどこに行ってしまったのだろう? サービスをされる側のお客さんも外国人がやたら多い。物見遊山のインバウンド外国人観光客、茅場町や新川のIT企業や証券会社で働くインド人や中国人エグゼキュティブとその家族。まるで外国のような光景は… [全文を読む]
体育会系のチベット人

体育会系のチベット人

体育会系といえば、高校時代を思い出す。休み時間に廊下をふざけながら歩いていて、ふと気づくと、横にいたはずのバスケ部の友だちがいない。振り返ると、彼女は廊下の端でコクンと首を90度前傾させ、直立不動で凍っているではないか。見ると、前からバスケ部の先輩が歩いてくる。10秒ほど凍りついていた友だちは、先輩が通り過ぎるとたちまち生気を取り戻し、再び、何事もなかったかのようにじゃれついてきた。何も大名行列や帝国陸軍じゃあるまいし…。当時、文化系部活に… [全文を読む]