コラム
リンカーンを裏切った男たち②

リンカーンを裏切った男たち②

米国連邦議会下院は2019年12月18日夜(米東部時間)、第45代大統領ドナルド・トランプを「権力濫用」と「議会妨害」の2つの理由で弾劾訴追した。上院は与党共和党が多数議席を占めており弾劾(罷免)されることはまずない情勢だが、トランプは第17代大統領アンドリュー・ジョンソン、第42代大統領ビル・クリントンに続き、議会の弾劾訴追を受けた不名誉な大統領の仲間入りをし、歴史にその名を刻むことになった… [全文を読む]
世界人権宣言と経済

世界人権宣言と経済

さて今回は、一見何の関係もなさそうに見える世界人権宣言と経済の関係について考えてみたいと思います。世界人権宣言は、1948年12月10日に国連で採択されたもので、その後の各種条約(たとえば1966年に採択された国際人権規約や1999年に採択されたグローバルコンパクト)の基盤となっています。全30条、日本語訳では4000字程度という簡潔なものですが、この中に基本的人権の概要がまとめられています。同宣言の採択から70年以上が経過した今では、当時なかった新しい人権の概念が登場しており、多少古い内容である点は… [全文を読む]
社会的連帯経済を推進する15の措置

社会的連帯経済を推進する15の措置

社会的連帯経済の推進においては昨今何かと活発になっているスペイン・カタルーニャ州ですが、同州内の事例のネットワークである XES(Xarxa d’Economia Solidària、シェス)は、市町村レベルでその推進を行うための15の措置に関するパンフレット(カタルーニャ語)を刊行しています。今回はこのパンフレットを読みながら、日本でもできることについて考えたいと思います。なお、社会的連帯経済関係の公共政策という点では… [全文を読む]
リンカーンを裏切った男たち①

リンカーンを裏切った男たち①

世界の政治の仕組みの中で、「司法、立法、行政の三権分立」が最も機能しているアメリカで、行政の長たる大統領の地位をはく奪するには二つの手段がある。一つは憲法補正第25条が定めた病気などを理由に職務の遂行ができなくなったと判断された場合。もう一つは憲法第2条第4節の「大統領、副大統領、および合衆国のすべての文官は、反逆罪、収賄罪、その他の重大な犯罪や非行について弾劾の訴追を受け、かつ有罪の判決を受け… [全文を読む]
社会的経済のパンフレット──ポルトガルから学ぶ

社会的経済のパンフレット──ポルトガルから学ぶ

私が住むスペインと同じイベリア半島にあり、言語的にも文化的にも似た点が多いポルトガルは、地味ながらも社会的経済において、一定のポジションを示しています。以前の連載でもポルトガルは何度か取り上げましたが、今回は社会的経済分野の業界団体であり、協同組合の監督権限も持っている「社会的経済のためのアントニオ・セルジオ協同組合」が最近刊行した社会的経済の実用ガイドをもとに社会的経済について… [全文を読む]
移民が移民を排斥する時

移民が移民を排斥する時

私が最も好きな映画作品の一つに、セルジオ・レオーネ監督の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト(昔、西部で)」がある。1968年12月封切りのイタリア映画だが、51年を経ても映画館で繰り返し上映されている名作である。学生時代に大学近くの名画座で連続2回観たのを皮切りに半世紀近く。今なお見るたびに新鮮な感慨が沸く。大陸横断鉄道の建設が進むアリゾナ州。鉄道を太平洋まで延伸することを悲願にしている余命短い鉄道王と彼を取り巻く3人のガンマン、さらに鉄道敷設予定地に隣接する農場主の再婚相手の… [全文を読む]
現場から劉暁波の香港論を考える その2 香港と私

現場から劉暁波の香港論を考える その2 香港と私

私は香港が「祖国の懐に戻って」から二二年間に十数回も訪ねた。その中にはヴィクトリア公園で天安門事件追悼キャンドル集会や詩人・アーティストたちの詩歌朗読、演奏、パフォーマンスなどの芸術祭があった(「色淡き血痕のなかで―二〇〇九年六月三日~四日、香港」『イリプスⅡnd』第四号、二〇〇九年四月、参照)。私は「雨傘運動」で、規模が最も大きく、メディアの報道も頻繁であった時ではなく、大陸で抗議デモの支持を… [全文を読む]
現場から劉暁波の香港論を考える その1『もし統一が奴隷化ならば』再読

現場から劉暁波の香港論を考える その1『もし統一が奴隷化ならば』再読

劉暁波は一度だけ香港を訪れたことがある。客員研究員としてノルウェーのオスロ大学からハワイ大学に移動する経由地として、一九八八年一一月二三日から二九日まで滞在した。短期間であったが、彼は「香港の自由、繁栄、秩序、香港人の温和、善良、遵法、勤勉」から「深い印象」を与えられ、「英国の殖民地統治に… [全文を読む]
社会的経済法関連のスペインでの最近の動向

社会的経済法関連のスペインでの最近の動向

スペインは世界で初めて、2011年3月に国レベルで社会的経済法が制定された国ですが(当初は全9条、その後特に補助金面で法改正されて現在では全13条。2011年当時の条文の和訳はこちらを参照)、その後2016年には、この全国法とは別にガリシア州で州法が制定されており(全文(スペイン語)はこちら)、またアラゴン州やカタルーニャ州でも州法の制定に向けた動きがあります。これに関して9月12日にバレンシア… [全文を読む]
減価するポイントによる年金支給で経済活性化

減価するポイントによる年金支給で経済活性化

現代貨幣理論(MTT)が日本を含む世界各国で話題になっていることについては、主にその理論的不備の観点から以前こちらでも紹介しましたが、特に年金問題が深刻化している現在の日本の状況を鑑みたうえで、今の日本でも導入できそうな事例について紹介したいと思います。具体的な提案に入る前に、用語の整理をしたいと思います。お金(貨幣や通貨という単語でも基本的に同じ意味)とポイントは似たような概念ですが、両者の… [全文を読む]
「対中A2/AD」は宮古海峡から

「対中A2/AD」は宮古海峡から

北朝鮮は7月25日から8月16日にかけて、日本海へ向けて6回にわたりミサイルとみられる飛翔体の発射実験を行った。米韓合同演習への警告と新開発兵器の実験とみられているが、防衛省は「我が国領域や排他的経済水域(EEZ)への弾道ミサイルの飛来は確認されておらず、現時点において、我が国の安全保障に直ちに影響を与えるような事態は確認されていません」とのコメントを出し続けている。北朝鮮は、国連安保理決議によって… [全文を読む]
通貨制度が今後激変?

通貨制度が今後激変?

最近、現在の通貨制度を揺るがしかねないさまざまなニュースが報道されています。ユーロ圏内のイタリア政府が発行を検討しているMini-Bot(英語)、ブラジルとアルゼンチンの統一通貨構想(日本語記事)、西アフリカ諸国15か国の間で来年導入予定の統一通貨ECO(日本語版記事)、Facebook主導で来年にも導入が予定される仮想通貨リブラ(日本語版)のように、新通貨関係のニュースが数多くマスコミを騒がせています。これらのニュースについて、できるだけ政治的な意味合いを除外したうえで、これらのニュースが今後の世界に… [全文を読む]
「独立宣言」の伝道者

「独立宣言」の伝道者

アメリカの首都ワシントンで7月4日に行われた今年の独立記念日の祝賀式典は、航空ショーと見まがうばかりの異様なものだった。リンカーン記念堂から連邦議事堂に至る東西約3キロメートルのナショナル・モールを埋めた人々の上空を、大統領専用機エアフォース・ワンを手始めに、海兵隊のVH-92オスプレイ、海軍のブルー・エンジェルス・チーム、空軍のB-2スピリット・ステルス爆撃機とF-22ラプター・ステルス戦闘機、沿岸警備隊のC-130輸送機、陸軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターが次々に飛行したのだ。しかも大統領が演説… [全文を読む]
移民向けの社会的連帯経済を考える

移民向けの社会的連帯経済を考える

6月8日(土)にバルセロナ市内サンツ地区にあるカン・バトリョーで、第1回移民と多様性の連帯経済見本市が開催されました。この会場となったカン・バトリョーは、もともと繊維工場の跡地で、5月15日運動の余波が残っていた2011年6月11日に地域住民らによりスクワット(占拠)され、各種社会運動や連帯経済などに向けた活動拠点としての自主運営が行われています。5月の記事でバルセロナは連帯経済が盛んだと… [全文を読む]
日米安保の要に急浮上したF-35B

日米安保の要に急浮上したF-35B

元号が「令和」に代わったばかりの5月下旬、「令和」時代最初の国賓としてトランプ米大統領が日本を訪問し、四日間にわたり安倍首相と濃密な首脳会談を繰り広げた。外交に秘密は付き物だし、秘密合意もあるかもしれないが、今回両首脳が世界に発したメッセージは極めて明確で、かつまた強烈だった。佐世保を母港とする米艦「ワスプ」と呉を母港とする海上自衛隊の護衛艦「かが」とを、在日米海軍司令部と海自の司令部がある… [全文を読む]