コラム
もしダライ・ラマがいなくなったら──すべてを包みこむ象徴の重み

もしダライ・ラマがいなくなったら──すべてを包みこむ象徴の重み

チベットの精神的指導者ダライ・ラマは、2018年秋に25回目の来日を果たした。横浜、東京、千葉、福岡で法話や講演を行ったほか、NHKなどのマスコミインタビューにも応じ、10日間の来日日程を精力的にこなした。今回の来日の最大のイベントである横浜パシフィコの3日間の法話、灌頂は、平日午前中の開催… [全文を読む]
1980年代の台湾と日本語放送の変貌(1981~1990)

1980年代の台湾と日本語放送の変貌(1981~1990)

1979年の米中国交樹立に伴い、「中華民国」台湾と米国の間の公式的な外交関係は消滅したものの、米国側の「台湾関係法」の存在や、台湾に好意的なレーガン新大統領の就任などもあって、米台間の軍事・経済面での関係が断切られることはなかった。また、70年代に着手された大規模なインフラ整備計画が結実し、石油ショック後も工業製品の輸出で高成長を維持した台湾は、NICs(新興工業国)、NIES(新興工業経済地域)… [全文を読む]
欧州における社会的経済の最新動向

欧州における社会的経済の最新動向

昨年までの私の連載では、社会的連帯経済について幅広く紹介してきましたが、社会的連帯経済についてはその後も発展が続いており、最近「EUにおける社会的経済の最近の進化」(全文英語版)(要約英語版)と題された報告書が発表されています。今回はこの報告書から、欧州における動向をお伝えしたいと思います。EUにおいては、すでに「EUにおける社会的経済」という報告書が2012年に刊行されていますが、本報告書では… [全文を読む]
チベット旅行で思ったこと、感じたこと⑥ パノプティコンと焼身自殺

チベット旅行で思ったこと、感じたこと⑥ パノプティコンと焼身自殺

ラサは中国国旗が至るところに舞い、検閲所のボディスキャナーを通過しなければ街に入れない。中心街を通り抜けることもできない。チベット亡命政権はその状況を監獄にたとえている。だが、そこは明るい笑顔と活気ある人々の生活もあった。ラサは成長する経済の足音が聞こえ、寺院が修復され、観光産業が振興する街… [全文を読む]
ラジオペキンの改革──「共産風」から聴取者重視の放送へ

ラジオペキンの改革──「共産風」から聴取者重視の放送へ

中華人民共和国の建国は本来、連合政府を母体とする新民主主義を本旨とし、決して社会主義をそのイデオロギーとするものではなかった。毛沢東は建国後から1950年代の後半にかけて連合政府と新民主主義を反古にし、公私合営や三面紅旗(社会主義建設の総路線、大躍進、人民公社)路線で急進的な社会主義的「改造」を… [全文を読む]
チベット旅行で思ったこと、感じたこと⑤ 青蔵公路、冬虫夏草

チベット旅行で思ったこと、感じたこと⑤ 青蔵公路、冬虫夏草

青海省西寧とチベット自治区ラサをつなぐ青蔵公路は片方一車線しかない。道は青蔵鉄道と平行している。追い越し車線のないその一本道を観光用の四輪駆動車やミニバン、物資輸送用トラック、そして軍事演習前後の軍用車が走る。なかでも一番多いのは物資輸送のトラックだ。チベット自治区ナンバーや近隣省の… [全文を読む]
公式夕食会の食器に認定されたチャイナ

公式夕食会の食器に認定されたチャイナ

米国の大統領府、ホワイトハウス一階には「チャイナ・ルーム」という名称の部屋がある。外国首脳との夕食会、閣僚の食事会、大統領夫人の食事会などに使用する、米国の威厳を象徴する応接間だ。なぜ「チャイナ」なのか。それはこの部屋がティーセットやディナーセットの名品を展示するだけではなく、実際に来客にも使用する、世界有数のチャイナ(磁器)の生きた“美術館”でもあるからだ… [全文を読む]
共有経済の展望

共有経済の展望

最近日本でも、共有経済(あるいは英語のままシェアリングエコノミーとも)という表現が頻繁に使われるようになりましたが、その一方でこの表現がさまざまな分野で使われていて、混乱が生じていることも現実です。今回は、この共有経済について整理したうえで、今後どのように発展するのか考察してみたいと思います。共有経済はもともと、オープンソースコミュニティの間で、利益を追求せずボランティア的な立場から、ソフトウェアやコンテンツを提供する事業を指すものでした。これらは企業による営利追求型の事業としてではなく… [全文を読む]
チベット旅行で思ったこと、感じたこと④ 草原の憂鬱

チベット旅行で思ったこと、感じたこと④ 草原の憂鬱

過去3回の中国・チベット旅行のうち2回は北京の旅行代理店で旅程を組んでもらった。中国との往復航空チケットだけ自分で手配し、訪問希望地を伝え、後の手配は全てお任せ。ホテル、観光名所のチケット予約、移動手段の確保など、全て事前にやっておいてもらう。やりとりは電子メール、言葉は英語、支払いはクレジットカード。完全カスタムメイドなのにわずか3日ほどでアレンジが終わる。中国到着後は一人のガイドが全旅程を… [全文を読む]
チベット旅行で思ったこと、感じたこと ③ 回る人たち

チベット旅行で思ったこと、感じたこと ③ 回る人たち

チベット人の習俗の大きな特徴の一つは、「回ること」だ。チベット語で「コルラ」と言う。寺の境内の周りを回る、バルコル(ラサの巡礼路)を回る、仏塔の周りを回る。据付けられたマニ(祈祷)車を次々と回しながら、あるいは、手に持つデンデン太鼓のようなマニ車を右回りに回しながら。あるいは、数珠を操り、経文を唱えながら。五体投地をしながら… [全文を読む]
気候変動対策における中央銀行の役割

気候変動対策における中央銀行の役割

今年の夏は、日本やヨーロッパなど各地で猛暑を記録しましたが、地球温暖化の影響でこのような猛暑が1年限りではなく、もはや毎年の恒例行事化していることは、読者の皆さんもご存知のことと思います。気候変動に対してはもはや待ったなしの対策が待たれる状況ですが、この対策において通貨改革の観点から、特に中央銀行側で実現可能な政策があるという、英国ポジティブマネーの報告書を今回は紹介したいと思います… [全文を読む]
チベットで見たこと、思ったこと② 爆、爆、爆!

チベットで見たこと、思ったこと② 爆、爆、爆!

観光スポットにバスが着くや、中国人観光客がぴょんぴょん飛び出して来る。ソーシャル用の証拠写真を撮るために。大人も子供のように走り回る。ゴミをポイ捨てする。ツバを吐く。叫ぶ。どなる。携帯スピーカーからウィーチャットに話しかけ続ける。酸素ボンベのチューブを鼻から垂らして騒いでいる人もいる。ホテルのバイキングでは、食べ物をごっそり皿に盛り、ごっそり残す。箸を直角に皿に突き刺し、首を低く突き出して… [全文を読む]
アメリカの建国と喫茶文化

アメリカの建国と喫茶文化

地球規模で人類の歴史を変える原動力となった食物がある。ブラジルやカリブ海の島々に労働力としての黒人奴隷を出現させた砂糖、アイルランドやドイツに大飢饉をもたらして民族移動の波を起こしたジャガイモ、そしてイギリスと清国とのアヘン戦争や、アメリカ革命(独立)の契機となった「茶」である。東アジアからインド北部を原産地とする「茶」には、二系統の名前がある。福建語起源の「テ(ティー)」と広東語起源の「チャ」である。西欧における喫茶の習慣は… [全文を読む]
チベットで見たこと、思ったこと ①

チベットで見たこと、思ったこと ①

夏休み、初めてラサを旅行した。高山病にならず、交通事故に遭わず、公安にスマホを取り上げられることなく、拘束されることなく、飛行機の遅延もなく、日本に戻ってこられて良かった! 2008年のチベット騒乱から10年。中国にとってチベットはどんどんセンシティブのレベルが上がっており、なるべく外国の関心がそこに向かないようにしているように見える。チベット自治区には、もはや外国人は数えるほどしか住んでおらず… [全文を読む]
外交環境の変化と日本語放送の脱皮(1971~1980)

外交環境の変化と日本語放送の脱皮(1971~1980)

1971年7月のニクソン米国大統領の北京訪問計画発表は、1970年代以降における中華民国の外交空間の狭隘化を預言するかのような出来事であった。この年10月の国連脱退、翌年の対日断交と続く外交上の挫折は、台湾民衆の心理にも大きな動揺を与えた。 これに続き75年には蔣介石総統が死去、台湾の将来は内外から危惧されたが、嚴家淦新総統の下で行政院長に就き、その3年後には総統に就任した蔣經國が強い指導力を… [全文を読む]