コラム
シンガポールとフランスの単純労働者──冷たいは温かい、温かいは冷たい

シンガポールとフランスの単純労働者──冷たいは温かい、温かいは冷たい

外国人労働者を受け入れる枠組みとなる入国管理・難民認定法の改正案が昨年、12月8日に成立した。わたくしごとだが、筆者はフランスとシンガポールに住んだことがある。どちらの国も生活や産業のさまざまなシーンで単純労働を外国人に頼っていた。日本以上に外国人を積極的に受け入れていた点は共通していたが… [全文を読む]
アヘンの呪い招き寄せた米国

アヘンの呪い招き寄せた米国

ブエノスアイレスで昨年12月1日に開かれた米中首脳会談で、トランプ大統領は中国で違法に製造された薬物フェンタニルの米国流入対策として、製造業者を死刑に処すよう習近平主席に求めた。アヘンを精製した鎮痛剤モルヒネの100倍も強力とされるこの薬物により、2017年に全米で77000人が死亡したとトランプ大統領は主張し、習主席も取り締まりを約束した。報道を奇異に思われた方も多いだろう。貿易問題ばかりに焦点が当たった首脳会談ではあったが、薬物中毒が蔓延する米国と… [全文を読む]
パーティーが終わらない時代のメメントモリ

パーティーが終わらない時代のメメントモリ

Facebookを始めたのは2008年だった。当時、シンガポールに住んでいた。子供の学校の親仲間に言われて登録すると、すでに友達申請が来ていた。だからわたしのFacebook上の名前はローマ字で、友だち第一号はインドネシア人のママ友だ。彼女のタイムラインの雑多な投稿に混じり、一葉のグループ写真にわたしの名前がタグ付けされていた。自分のタイムラインに移ると同じ写真が載っていた… [全文を読む]
キューバにおける協同組合の展開

キューバにおける協同組合の展開

明けましておめでとうございます。今年もこの連載をよろしくお願いいたします。さて、前回に引き続き、今回も私のもともとの専門である社会的経済について取り上げます。折しも本日(2019年1月1日)はキューバ革命60周年ということもあり、最近同国の協同組合について刊行された、その名も「キューバにおける協同組合運動」という研究書の内容を紹介したいと思います。キューバでは革命以降、カストロ兄弟(フィデル… [全文を読む]
清国貿易から鉄道事業へ

清国貿易から鉄道事業へ

火薬製造のデュポン、石油採掘のロックフェラー、不動産と銀行のメロンと、今尚アメリカのファミリー企業のトップにそびえ立つ企業群は、19世紀初めから中葉にかけて誕生した。しかし、当時産業の規模として最大だったのは鉄道業である。多額の資本と膨大な労働力を注ぎ込み鉄路を敷設する鉄道事業は、若々しい独立国アメリカの国造りの根幹、経済の大動脈づくりとなるビッグ・ビジネスだった。17歳で清国との貿易に乗り出し、若くして富と名声を築いたジョン・マレー・フォーブス… [全文を読む]
もしダライ・ラマがいなくなったら──すべてを包みこむ象徴の重み

もしダライ・ラマがいなくなったら──すべてを包みこむ象徴の重み

チベットの精神的指導者ダライ・ラマは、2018年秋に25回目の来日を果たした。横浜、東京、千葉、福岡で法話や講演を行ったほか、NHKなどのマスコミインタビューにも応じ、10日間の来日日程を精力的にこなした。今回の来日の最大のイベントである横浜パシフィコの3日間の法話、灌頂は、平日午前中の開催… [全文を読む]
1980年代の台湾と日本語放送の変貌(1981~1990)

1980年代の台湾と日本語放送の変貌(1981~1990)

1979年の米中国交樹立に伴い、「中華民国」台湾と米国の間の公式的な外交関係は消滅したものの、米国側の「台湾関係法」の存在や、台湾に好意的なレーガン新大統領の就任などもあって、米台間の軍事・経済面での関係が断切られることはなかった。また、70年代に着手された大規模なインフラ整備計画が結実し、石油ショック後も工業製品の輸出で高成長を維持した台湾は、NICs(新興工業国)、NIES(新興工業経済地域)… [全文を読む]
欧州における社会的経済の最新動向

欧州における社会的経済の最新動向

昨年までの私の連載では、社会的連帯経済について幅広く紹介してきましたが、社会的連帯経済についてはその後も発展が続いており、最近「EUにおける社会的経済の最近の進化」(全文英語版)(要約英語版)と題された報告書が発表されています。今回はこの報告書から、欧州における動向をお伝えしたいと思います。EUにおいては、すでに「EUにおける社会的経済」という報告書が2012年に刊行されていますが、本報告書では… [全文を読む]
チベット旅行で思ったこと、感じたこと⑥ パノプティコンと焼身自殺

チベット旅行で思ったこと、感じたこと⑥ パノプティコンと焼身自殺

ラサは中国国旗が至るところに舞い、検閲所のボディスキャナーを通過しなければ街に入れない。中心街を通り抜けることもできない。チベット亡命政権はその状況を監獄にたとえている。だが、そこは明るい笑顔と活気ある人々の生活もあった。ラサは成長する経済の足音が聞こえ、寺院が修復され、観光産業が振興する街… [全文を読む]
ラジオペキンの改革──「共産風」から聴取者重視の放送へ

ラジオペキンの改革──「共産風」から聴取者重視の放送へ

中華人民共和国の建国は本来、連合政府を母体とする新民主主義を本旨とし、決して社会主義をそのイデオロギーとするものではなかった。毛沢東は建国後から1950年代の後半にかけて連合政府と新民主主義を反古にし、公私合営や三面紅旗(社会主義建設の総路線、大躍進、人民公社)路線で急進的な社会主義的「改造」を… [全文を読む]
チベット旅行で思ったこと、感じたこと⑤ 青蔵公路、冬虫夏草

チベット旅行で思ったこと、感じたこと⑤ 青蔵公路、冬虫夏草

青海省西寧とチベット自治区ラサをつなぐ青蔵公路は片方一車線しかない。道は青蔵鉄道と平行している。追い越し車線のないその一本道を観光用の四輪駆動車やミニバン、物資輸送用トラック、そして軍事演習前後の軍用車が走る。なかでも一番多いのは物資輸送のトラックだ。チベット自治区ナンバーや近隣省の… [全文を読む]
公式夕食会の食器に認定されたチャイナ

公式夕食会の食器に認定されたチャイナ

米国の大統領府、ホワイトハウス一階には「チャイナ・ルーム」という名称の部屋がある。外国首脳との夕食会、閣僚の食事会、大統領夫人の食事会などに使用する、米国の威厳を象徴する応接間だ。なぜ「チャイナ」なのか。それはこの部屋がティーセットやディナーセットの名品を展示するだけではなく、実際に来客にも使用する、世界有数のチャイナ(磁器)の生きた“美術館”でもあるからだ… [全文を読む]
共有経済の展望

共有経済の展望

最近日本でも、共有経済(あるいは英語のままシェアリングエコノミーとも)という表現が頻繁に使われるようになりましたが、その一方でこの表現がさまざまな分野で使われていて、混乱が生じていることも現実です。今回は、この共有経済について整理したうえで、今後どのように発展するのか考察してみたいと思います。共有経済はもともと、オープンソースコミュニティの間で、利益を追求せずボランティア的な立場から、ソフトウェアやコンテンツを提供する事業を指すものでした。これらは企業による営利追求型の事業としてではなく… [全文を読む]
チベット旅行で思ったこと、感じたこと④ 草原の憂鬱

チベット旅行で思ったこと、感じたこと④ 草原の憂鬱

過去3回の中国・チベット旅行のうち2回は北京の旅行代理店で旅程を組んでもらった。中国との往復航空チケットだけ自分で手配し、訪問希望地を伝え、後の手配は全てお任せ。ホテル、観光名所のチケット予約、移動手段の確保など、全て事前にやっておいてもらう。やりとりは電子メール、言葉は英語、支払いはクレジットカード。完全カスタムメイドなのにわずか3日ほどでアレンジが終わる。中国到着後は一人のガイドが全旅程を… [全文を読む]
チベット旅行で思ったこと、感じたこと ③ 回る人たち

チベット旅行で思ったこと、感じたこと ③ 回る人たち

チベット人の習俗の大きな特徴の一つは、「回ること」だ。チベット語で「コルラ」と言う。寺の境内の周りを回る、バルコル(ラサの巡礼路)を回る、仏塔の周りを回る。据付けられたマニ(祈祷)車を次々と回しながら、あるいは、手に持つデンデン太鼓のようなマニ車を右回りに回しながら。あるいは、数珠を操り、経文を唱えながら。五体投地をしながら… [全文を読む]